2021 年 71 巻 1 号 p. 53-58
症例は77歳女性.3日前からの嘔気,上腹部痛を主訴に当院救急外来を受診された.腹部レントゲンにてニボー像を伴う腸閉塞の所見を呈しており,腹部造影CTにてclosed loop,whirl sign,腹水を認めたため,絞扼性イレウスの診断にて緊急開腹手術を施行した.手術所見では肝右側の横隔膜にヘルニア孔を認め,小腸が陥入している所見であったことから,右側Bochdalek孔ヘルニア嵌頓と診断した.可及的にヘルニア孔を単純閉鎖し,手術終了とした.術後10日間で自宅退院となり,その後再発なく経過している.成人の右側発症のBochdalek孔は稀であり,若干の文献を含めて考察する.