北関東医学
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原著
乳癌センチネルリンパ節生検における術中迅速病理診断省略の影響に関する検討
松本 広志
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2022 年 72 巻 2 号 p. 159-163

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抄録

目 的:センチネルリンパ節生検(SNB)における術中迅速病理診断(FS)省略の影響について検討する.方 法:研究1,2008年1月~2009年12月に原発性乳癌に対してSNBが施行された症例群(N=454)でのFS省略により推定される影響を検討した.さらにACOSOG Z-0011試験対象に相当するcT1-2N0乳癌,乳房温存手術(BCS)+SNB+全乳房照射施行症例(N=308)での影響を検討した.研究2,実際にFS省略を臨床導入した2015年7月~2016年12月のFS省略SNB施行群(N=207)において,安全性を検討した.結 果:研究1,Z-0011試験結果に基づき2個以内のセンチネルリンパ節転移は郭清不要とした場合の腋窩再手術推定施行率は3.2%であった.研究2,腋窩再手術施行率は2.4%,腋窩再発は1例であった.考 察:FS省略はSNBの本質や最終診断には影響がなく,Z-0011試験基準を適用した場合は再手術施行率も充分低く,安全にSNBを施行することが可能であった.

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