2022 年 72 巻 3 号 p. 281-285
胆汁瘻は,肝胆道系手術において注意すべき合併症である.近年,内視鏡治療の有用性が報告されているが,標準的治療は確立されていない.2021年に当院で内視鏡治療を行った術後胆汁瘻2例を報告する.年齢は78歳及び82歳,いずれも男性である.2例とも内視鏡的胆管ドレナージ法(endoscopic retrograde biliary drainage: ERBD)及び開腹ドレナージ手術が行われ,いずれも胆汁瘻の閉鎖が得られた.短期・長期合併症は見られていない.術後胆汁瘻に対する内視鏡治療は,一般的には内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(endoscopic nasobiliary drainage: ENBD)が施行されることが多いものの,患者本人の苦痛を伴うため,特に高齢患者では事故抜去などのリスクを伴う.その一方,ERBDであればそうしたリスクなしに有効なドレナージを得ることができる.