2023 年 73 巻 3 号 p. 221-224
小児において細菌性髄膜炎は予防接種の普及により患者数は減少したが,適切な治療が行われても死亡率や後遺症率が高い疾患である.我々は副鼻腔炎の中でも稀である蝶形骨洞炎を契機とし細菌性髄膜炎に罹患した小児例を経験したため報告する.
症例は13歳女児.当院受診1週間前から頭痛が出現し,増悪したため前医を受診した.項部硬直,右外眼筋麻痺を認めた.血液検査で白血球増多,炎症反応上昇があり,髄液検査では髄液糖低下を伴う細胞数増多を認めた.頭部MRIで両側蝶形骨洞に膿瘍形成を疑うT2WI高信号域を認め,当院へ転院し内視鏡下副鼻腔手術を施行された.抗菌薬治療にて症状は改善し,計19日間の抗生剤静注を行い,入院21日目に後遺症なく退院した.髄液培養からStreptococcus intermediusが同定された.稀ではあるが副鼻腔炎から重篤な中枢神経感染症が引き起こされることがあるため,臨床医は頭蓋内合併症に留意する必要がある.