2026 年 76 巻 2 号 p. 155-165
目 的: 本研究の目的は,医療系大学生の精神障がい者に対する態度が,精神疾患に関する講義の前後,および精神障がい当事者のリカバリーストーリーを聞きディスカッションする体験の有無によって,どのように変化するかを明らかにすることであった.
方 法: 医療系大学の2年生118人を対象に無記名Web調査を行った.調査は精神医学の講義(2か月間)の前後に行い,期間中に当事者のリカバリーストーリーを聞きディスカッションを行う会を開催し,学生に任意参加を求めた.調査内容は,精神疾患への関心,精神疾患の知識,スティグマ,社会的距離,リカバリー志向性であった.
結 果: 有効回答は,第1回調査60名,第2回調査54名であり,リカバリーストーリー参加者は24名であった.第2回調査では,全体として精神障がいに対するスティグマ得点が第1回調査より高くなる傾向がみられた.一方,参加者では,精神疾患への関心が高まり,社会的距離得点が有意に低下した(p<0.05).
考 察: 講義よる精神疾患の知識学習の過程では,医療系大学生の精神障がい者に対するスティグマが高まる傾向がみられた一方,当事者のリカバリーストーリーを聞きディスカッションする体験は,精神障がい者に対する否定的態度を軽減する可能性が示唆された.