抄録
【背景・目的】1993年成績では全国平均と比べて平均値は低く, 低値者の頻度は高率であった当県のHDLコレステロールは, 1998年成績では全国平均と大差がなかった.この両報告に違いを生じた理由は何処にあるかを検討した.【対象と方法】1993年から2001年まで健康づくり財団が実施した地域集団検診の成績からHDLコレステロールならびに関連項目の検討を行うとともに, 1990年から2000年にかけての全国平均の動向をも検討した.【結果】全国平均に比べて低値であった当県の HDLコレステロール平均値が近年に至り全国平均並に増加してきた理由は, 全国平均を上回っていた炭水化物摂取量が減少してきた結果と考えられる.なお HDLコレステロール値の年次増加は全国的にもみられるが, この点はほとんど注目されていない.【結語】炭水化物摂取量の減少に伴い, 当県のみならず全国平均でも HDLコレステロール値は増加している.