北関東医学
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骨髄非破壊的前処置による同種造血幹細胞移植
齊藤 泰之松島 孝文横濱 章彦斉藤 竜大土岐 典子河村 俊英半田 寛前川 出唐沢 正光塚本 憲史村上 博和野島 美久
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2003 年 53 巻 4 号 p. 369-375

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抄録
近年, 前処置を軽減した骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植 (Nonmyeloablative Stem Cell Transplantation;NST) が注目されている.NSTは「獲得したドナーT細胞による抗腫瘍効果」を期待した治療であり, 前処置の強度を弱めることで臓器毒性を減らし, 移植後早期の合併症による死亡のリスクを低下させることができる.この方法を用いれば白血病などの血液疾患治療の「切り札」である同種造血幹細胞移植を, 高齢者や臓器障害を有する症例にも実施可能であると考えられている.NSTの適応疾患に関する臨床試験が現在実施されているが, 血液疾患のみならず固形腫瘍の一部にも抗腫瘍効果が確認されている.当科でも治療抵抗性の5症例 (血液疾患4例, 固形腫瘍1例) に対しNSTを実施した.感染症対策は通常の急性白血病の化学療法と同様の管理で十分であり, 100日以内の早期死亡は見られなかった.2例にgradeIII以上の急性GVHDを併発し, 生着後の合併症対策は通常の同種造血幹細胞移植と同様に注意深い経過観察が必要であった.5例中4例に明らかな抗腫瘍効果を認めたが, 3例は原疾患の再増悪により死亡した.NSTの適応疾患, 安全性に関しては今後更に症例を積み重ねる必要があるが, 比較的安全に施行可能な同種造血幹細胞移植であり, 新たな治療戦略として有望視される.
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