日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k09-07
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Asuka 881020 CH3コンドライトの鉱物学:特に水質変成作用を受けたクラストについて
*野口 高明中村 智樹木村 眞今栄 直也
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抄録
1.はじめに CHコンドライトは多くの細粒コンドルール(<100μm径)と Fe-Ni金属,特徴的なCa, Al-rich inclusion,強い水質変成作用を受けたクラストを含み,細粒の不透明なマトリックスを欠いている[1,2,3,4]。さらに,宇宙化学的特徴や酸素同位体組成も考慮し炭素質コンドライトの一員とされている[5]。我々は,Asuka 881020隕石が上述の既知のCHコンドライトの記載岩石学的特徴を全て満たしていることを示した[6]。さらに,強い水質変成作用を受けたクラストについて,既知のCHコンドライトのものとは異なる点を見出した。これらのクラストの鉱物学的特徴について報告する。2.結果 非常に強く水質変成作用を受けたクラスト(以下HHC (heavily hydrated clasts)と略す)は,十から数百μmの不定形をしており,細粒の不透明なマトリックス中に,フランボイダル・マグネタイトや,数μmのFe(およびNi)硫化物を含む。また,時にdolomiteを含む。HHCのマトリックスのEPMA分析値は平均88.17 wt%と低いトータルを示すため,マトリックスは層状珪酸塩に富むと考えられる。HHC以外に,かなりの水質変成作用を受けた不定形の差し渡し数十μm以下のクラスト(以下AGC (altered glass clasts)と略す)が存在する。AGCは芯に溶食されたガラスを持ち,周囲はFeに乏しいsaponiteとSiO2に富む物質の混合物と考えられる物質に置換されている(平均84.42 total wt %)。HHCとAGCをSEM-EDSで確認し,実体鏡下でHHCを7個,AGCを4個,薄片より掘り出し,放射光X線回折を行った。HHCは主な層状珪酸塩鉱物がserpentineであるもの,saponiteと少量のserpentineであるもの,層状珪酸塩が確認できなかったものの3種類に分かれた。X線的に層状珪酸塩が検出されなかったHHCではpyroxene,olivine,kamacite,troiliteを含んでいた。また,AGCからは層状珪酸塩由来の明瞭な回折線は確認できなかった。3.まとめ CHコンドライトに含まれるHHCについての従来の鉱物学的研究は,主な層状珪酸塩鉱物はserpentineであり,saponiteなどは少量含まれるに過ぎないと述べている[3,7]。ところが,Asuka 881020においては,上述の3種類のHHCが見出された。この結果は,CHコンドライトに含まれるHHCが皆同様の履歴を経たものばかりではないことを示している。層状珪酸塩が含まれなかったHHCは[2]のreduced clastsに対応すると考えられ,HHCが加熱と還元を受けたものである可能性がある。AGCからX線的に層状珪酸塩が検出できないということは,水質変成作用によって作られた物質の結晶度が非常に低いことを示唆している。このようにAsuka 881020には,水質変成の条件とその後の過程の異なったクラストが少なくとも4種類含まれていることが分かった。文献 [1] Krot A. N. et al. (2002) MAPS, 37, 1451-1490. [2] Grossman J. N. et al. (1988) EPSL, 91, 33–54. [3] Greshake, A. et al. (2002) MAPS, 37, 281-293. [4] Ivanova, M. A. et al. (2001) LPSC XXXII, #1817. [5] Bischoff, A. et al. (1993) GCA, 57, 2631-2648. [6] Noguchi, T. et al. (2004) NIPR Symposium abstract, 62-63. [7] Osawa, T. et al. (submitted) MAPS
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© 2004 日本鉱物科学会
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