日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k06-16
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酸性領域下における、黒雲母のナトリウムイオンによる陽イオン交換反応と溶解機構
*杉森 博和村上 隆
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キーワード: 黒雲母, 溶解, 陽イオン交換
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抄録
珪酸塩鉱物の溶解機構は、水溶液中のイオン強度やイオンの種類によって様々な影響を受けることが知られている。実際自然界において、珪酸塩鉱物は多種多様なイオンを含んだ水と反応し、また実験室における鉱物の溶解実験に関しても、pHなどを調整するために反応溶液中に緩衝剤となる塩を加えることが多い。したがって、鉱物の天然における風化機構や、実験室での溶解実験から得られた結果を正しく理解するために、珪酸塩鉱物の溶解に対する反応溶液中のイオンの影響を調べることは必要不可欠である。特に層状珪酸塩鉱物の一種である黒雲母の溶解は、層間に存在するカリウムイオンの選択的溶出と、それに伴うバーミキュライト様の粘土鉱物層の形成を特徴とするため、水溶液中のアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの影響を調べることは、その溶解機構を知る上で非常に重要である。今回我々は、pHやナトリウムイオン濃度が異なるいくつかの条件下で黒雲母と塩化ナトリウム水溶液を反応させ、カリウムイオンの溶出速度や黒雲母の変質、また黒雲母全体の溶解に対するナトリウムイオンの影響について調べた。実験では粉砕した黒雲母を、一定のpHに調整した1.0 Mの塩化ナトリウム水溶液(pH range : 1.5 _から_ 4.0)とテフロン容器内で6時間から1週間、40 ℃で反応させた。また、反応溶液中のナトリウムイオン濃度の影響は、pH 3.0に調整した、濃度が0.1 Mから1.5 Mの塩化ナトリウム水溶液を、それぞれ40 ℃で黒雲母と反応させて調べた。また比較のために、塩化ナトリウムをまったく加えない系においても同様の実験を行った。実験後の固体試料はX線粉末回折(XRD)および走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて分析し、黒雲母から溶出した、反応後溶液中のK、Mg、Siの濃度については、ICP-AESを用いて測定した。黒雲母はバーミキュライトやスメクタイトなどの粘土鉱物に比べ、陽イオン交換がほとんど起こらない鉱物であると考えられているが、反応溶液のpHやナトリウムイオン濃度によっては、層間のカリウムイオンと溶液中のナトリウムイオンとの交換反応が起きることが、XRDの結果から確認された。層間のカリウムイオンが溶液中のナトリウムイオンと交換することにより形成された1.2 nmの底面反射をもつ層状鉱物の量は、反応溶液のpHおよびナトリウムイオン濃度に依存し、3日間の反応後では、pHに関してはpH 3付近でその量は最大となり、濃度に関してはより高い方が形成された1.2 nmの鉱物の量は多かった。またSiの溶出に代表される黒雲母全体の溶解も、溶液中のナトリウムイオンの有無によってその溶解速度に差が見られ、pH 2.0においてはナトリウムイオンを加えた方が溶解速度は速かったが、逆にpH 3.0ではナトリウムイオンを加えない方が速かった。ナトリウムイオン濃度に関しては、濃い方が全体の溶解速度が遅くなる傾向が見られた。この黒雲母全体の溶解に対する反応溶液のpH、ナトリウムイオン濃度の影響は、ナトリウムイオンと層間のカリウムイオンの交換反応とも密接に関わっていると考えられる。
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© 2004 日本鉱物科学会
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