抄録
酸性鉱山廃水において、低結晶性鉄鉱物シュベルトマナイトの生成とヒ素収着による自然浄化現象が報告されている。そこでこれを応用して、旧幌別硫黄鉱山を対象に、現況調査とヒ素の自然浄化機構に学ぶ坑廃水処理方法の開発、並びにその長期安全性の評価を行った。調査から、現在の中和澱物には中和剤のCaCO3が62%含まれておりその非効率性が示された。坑廃水についてはバッチ試験を行い、シュベルトマナイトの生成とヒ素の除去を確認した。これを基に現地で連続的な処理試験を行った。結果、坑廃水中のヒ素を検出限界以下に除去し、66.5%のシュベルトマナイトを含みヒ素を1.23%に濃縮した澱物を得た。この澱物の加速変質試験から、ヒ素を吸着したシュベルトマナイトについて地表環境下でヒ素の安定相であるスコロダイトへの変質が認められた。以上から、自然浄化機構に学ぶ坑廃水処理の処理能力及び長期安全性が示された。