2024 年 54 巻 2 号 p. 11-17
本研究では,幼稚園の年長児75名を対象に,規則場面として信号があるかないか,対人場面として友人が一緒か単独かの交通場面を設定し,それらを組み合わせた4つの交通場面において,共感性と危険回避行動との関連を検討した.交通場面についての例話とその内容を線画で表した図版を用いて,危険回避行動の測定を行った.また,共感性の測定には,Feshbach & Roe(1968)のASTを参考に作成した石川・内山(2001)の課題を使用した.分析の結果,共感性が高い年長児は低い年長児より危険回避行動を取ることができ,特に信号のない対人場面において,適切な危険回避行動を取ることが示された.この結果から,共感性は,他者の気持ちや意図を推測することにつながるため,危険回避行動を可能にすると考えられる.