抄録
パラフィンおよびポリエチレンが, 延伸ポリオキシメチレンの表面上にepitaxial growthすることを見いだした. ポリエチレンの板状結晶がedgeで立ってポリオキシメチレンの延伸方向に直角に配列する. overgrowthした薄膜の一部をはく離して電子線回折に供し, ポリエチレンの分子鎖が下地結晶と同じc軸配向していることを確認した. ポリエチレンとポリオキシメチレンの結晶構造を比較すると, 結晶系は異なるが結晶格子間隔が分子鎖方向 (整数倍の関係) でも, またそれと垂直な方向でもよく合致している. また単位胞内の分子鎖の配列様式も類似している. この結晶格子間隔の2次元的一致という条件は, 高分子結晶の生長に特有な折りたたみ結晶核が一定方位に形成されるのに有利であると考えられる. 分子鎖の形態や極性などの類似性はepitaxial growthの支配的因子でない. 一方パラフィンおよびポリエチレンは延伸6-ナイロン, ポリビニルアルコール, ポリプロピレン, セルロースIIの上ではepitaxial growthしないことがわかった. これらの下地の高分子の中にはovergrowthする高分子に対して2次元的結晶格子間隔の一致という条件を満たすものも含まれており, この条件が決して十分条件でないことを示す. このような結果は高分子結晶を下地としたときの相互作用の複雑さによるもので, 結晶性などが影響しているものと考えられる.