ことば
Online ISSN : 2424-2098
Print ISSN : 0389-4878
個人研究
概念メタファー理論に基づくコロケーションの誤用分析
―<頭/脳は機械>を例に―
李 文鑫
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2018 年 39 巻 p. 52-69

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抄録

本研究では、<思考>メタファーに関して、日本語でも中国語でも<考えは機械の動き>という上位概念メタファーがあるが、その下位概念メタファーとして、日本語では<頭は機械>があるのに対して、中国語では<脳は機械>があることを示して、目標領域及び写像において日中両言語にズレがあることを明らかにした。さらに、大型学習者書き言葉コーパスのデータを分析し、中国語を母語とする日本語学習者が自然産出したコロケーションを①母語の<脳は機械>の写像に対応する誤用、②母語から目標言語へシフトしていく途中の誤用、③目標言語の<頭は機械>の写像と対応する正用の3種類に分類し、目標領域及び写像への間違ったアクセスによる概念誤用の例を示した。そして、コロケーションの誤用原因は日中両言語における概念メタファーの写像のズレによることを明らかにした。

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© 2018 現代日本語研究会
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