ドイツ各地の地域公共交通は、運輸連合を介した複数の交通事業者による緊密な連携の下で提供されている。本研究は、その嚆矢となるハンブルク運輸連合につき、その設立を巡る構想や経緯を検証した。これにより、異なる立場や属性を有する交通事業者による連携という前例のない取組の実現に向けては、多岐に渡る膨大な利害調整の過程を経る必要があったことを明らかにした。また、運輸連合の創設を提案した地域側の関係主体による目標の言語化と共有、目的の達成を重視した現実的な対応といった要素こそが、設立交渉を成功に導く上で不可欠であったとの結論を導き出した。