2016 年 2016 巻 63 号 p. 73-80
イチゴのアブラムシ類防除を目的として,2種のアブラバチを用いた試験を実施した。ナケルクロアブラバチのマミー8頭/m2を3回放飼した区と無処理区でワタアブラムシの密度を調査したところ,放飼した区の密度指数は最低でも62.2であり防除効果が低かった。ナケルクロアブラバチとコレマンアブラバチのマミーをそれぞれ1頭/m2ずつ6回同時放飼した区と無処理区で密度を調査したところ,放飼した区のチューリップヒゲナガアブラムシの密度指数の最低値は14.5であり防除効果が認められた。2種のアブラバチのマミーをそれぞれ0.5頭/m2ずつ6回同時放飼した区と無処理区でワタアブラムシの密度を調査したところ,放飼した区の密度指数の最低値は8.4であり防除効果が認められた。以上から,2種のアブラバチのマミー0.5~1頭/m2の複数回同時放飼は,イチゴのチューリップヒゲナガアブラムシとワタアブラムシに対して防除効果が認められ,実用性があると考えられた。