2018 年 2018 巻 65 号 p. 121-122
2016年に千葉県銚子市内の2か所のキャベツ圃場で採集したキスジノミハムシ成虫を対象に,コナガの防除に利用されることが多い薬剤を中心とした6種殺虫剤による殺虫効果を調査した。両個体群における殺虫効果が高かったのはPAP乳剤であった。トルフェンピラド乳剤およびシアントラニリプロール水和剤では個体群間で殺虫効果が大きく異なり,キャベツのみが栽培される地域の個体群では両薬剤とも高く,キャベツとダイコンの圃場が混在する地域の個体群では低かった。キスジノミハムシに対する適用がないエマメクチン安息香酸塩乳剤,ピリダリル水和剤およびフルベンジアミド水和剤では,両個体群ともほとんどの個体が生存した。キャベツとダイコンの圃場が混在する地域では,本種に対して実用的な殺虫効果を発揮する薬剤は非常に少ないため,発生源の除去などにより,地域の個体群密度を低くすることが重要と考えられる。