関東東山病害虫研究会報
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畑作物・野菜の虫害
神奈川県のトマト抑制栽培における害虫新防除体系の検討
大矢 武志島田 涼子
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2018 年 2018 巻 65 号 p. 78-82

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抄録

ウイルス病害,およびそれらを媒介する微小害虫の防除が最も困難なトマト抑制作型において,タバココナジラミ類およびアザミウマ類に対する忌避剤,0.6 mm目合い新型赤色防虫ネットならびに天敵製剤のタバコカスミカメ製剤を用いた新総合防除体系の防除効果について検討した。その結果,新総合防除体系区ではコナジラミ類の密度が大幅に増加したことから新型赤色防虫ネットだけではコナジラミ類の侵入ならびにトマト黄化葉巻病の発生を抑制することは困難であった。一方,アセチル化グリセリドを定期的に散布した2017年の試験では,コナジラミ類の密度が高かったにもかかわらずトマト黄化葉巻病の発生は少なく推移し,忌避剤によってウイルス媒介が抑制されたと考えられた。タバコカスミカメ製剤の効果はタバコカスミカメの増殖が認められず判然としなかった。また,新型赤色防虫ネットおよび0.4 mm目合いの防虫ネットともにアザミウマ類の発生はなかった。これらのことから,新型赤色防虫ネットとタバココナジラミに対する忌避剤の組み合わせにより,従来から用いられている0.4 mm目合いの防虫ネットおよび殺虫剤による防除手法と同等の効果をもたらす可能性がある。

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© 2018 関東東山病害虫研究会
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