育種学研究
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原著論文
飼料作物育種におけるGreen Red Vegetation Index(GRVI)と他のRGB植生指標との比較
黄川田 智洋依田 悠希藤原 崚眞田 康治佐藤 広子佐藤 尚上床 修弘荒川 明髙井 智之清 多佳子内山 和宏高原 美規春日 重光秋山 征夫
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2022 年 24 巻 2 号 p. 134-145

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抄録

牧草品種育成での罹病程度評価および越冬性評価において,一般的なRGBカメラを搭載したUAVで撮影した空撮画像から,GRVIを含む88のRGB植生指標を算出し育種家評点と比較した.罹病程度評価においては,育種家評点とのピアソンの積率相関係数の2乗(R2)の平均が0.5以上の高い値を示したのはGRVI,GmR,GmR_2,MGVRI,VARI,GI,RGRI,ExGR,ExR_2,SAVI,SAVI_2の11植生指標で,その植生指標の多くは,RGBの3色のうちのBによる影響が小さい植生指標であった.越冬性評価において育種家評点と高いR2を示したのはg,ExG,ExG_2,GLI,CIVE,CIVE_2,RGVBI,RGBVIの8植生指標であった.越冬性評価とのR2が高かった8植生指標はRGBの全色を利用する植生指標であった.この他に複数の地域で行われた,エンバク,イタリアンライグラス,スーダングラス,ペレニアルライグラス,アカクローバの育種試験における育種家評点とGRVIの相対指標であるrGとを比較したところ,草勢および冬枯れ程度の評価でR2が高かった.一方,草型,倒伏程度の評価ではR2は低かった.また,形質の種類にかかわらず,育種家の評価自体が難しい試験ではR2が低かった.これらのことからrGでの評価は,上空からの空撮画像において,試験区内における植物体の面積の大きさで評価する形質や,試験区全体の色調の違いで評価する形質に適していると考えられた.

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© 2022 日本育種学会
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