九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2021
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当院回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカムと入院時訪問指導の関連性について
*渡部 果歩*長谷川 隆史
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p. 134

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抄録

【目的】

入院時訪問指導加算(以下,入院時訪問)は2014 年度の診療報酬改定にて新設された加算である。長崎県は斜面地や階段が多く,入院患者の住環境を早期に把握しておく必要性が高く,当院でも積極的に入院時訪問を実施している。しかし,「入院前後7 日以内」「入院中1 回限り」「1 回あたり150 点」といくつかの制限があり,多くの病院が実施を見合わせており,その効果について検証した報告は少ない。そこで本研究の目的は,当院回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)の入院患者に対する入院時訪問の効果について検証する事とした。

【対象と方法】

対象は整形外科疾患を有し,回リハ病棟に入院した65 歳以上の高齢者のうち,2020 年4 月1 日から2021 年2 月28 日に退棟した109 名(平均年齢81.5 ± 7.1歳)とした。除外基準は, 実績指数計算の除外患者とした。本研究は後方視的観察研究で,入院時訪問を実施した群(以下,実施群)と実施しなかった群(以下,非実施群)に群分けし,補正FIM effective,在院日数,在宅復帰割合について両群間で比較した。各パラメーターの正規性の確認にShapiro-Wilk の正規性検定を行い,正規性が確認できなかったことから,Mann-Whitney U Test による2 群間の比較を行った。尚,有意水準は5%とした。更に,回リハ病棟の理学療法士と作業療法士に対して,2020 年5 月と2021年1 月に入院時訪問に関するアンケート調査を実施した。

【結果】

実施群43 名(平均年齢80.3 ± 6.4 歳),非実施群66 名(平均年齢82.3 ± 7.5歳)であった。平均補正FIM effective は実施群で82.4 ± 19.7 %, 非実施群で77.9 ±17.4%と実施群が有意に高値を示した。平均在院日数は実施群で61.8 ± 21.8日,非実施群で59.9 ± 23.6 日と有意差はなく,在宅復帰割合もは実施群97.7%,非実施群97.0%と大きな差は見られなかった。また,アンケート調査では多くの入院患者に対して入院時訪問が必要であると回答したスタッフの割合が,初期は82.0%,最終は93.0%と増加し, 明確な目標設定ができるとの回答が多くみられた。

【考察】

入院時訪問を実施し早期に自宅環境を把握し,それに加えて適切な評価,介入を行っていくことで,最終目標とそれに応じた短期目標を明確に設定でき,より効率的に在宅復帰を目指すことが可能であると考える。今回,補正FIM effective において有意差が見られたことから,リハビリテーション介入実施における質の改善のみならず,ADL 改善にも寄与する可能性が示唆された。しかしながら,先行研究において在院日数を短縮させる効果が報告されているが,今回の検討では在院日数の短縮には至らなかった。また,アンケート調査より,明確な目標設定ができるとの理由から,入院時訪問の必要性を感じるスタッフが増加し,スタッフの意識の改善も見られた。今後の課題は,入院時訪問の患者毎の必要度とコスト面について検討することである。また,入院時訪問によって明確になった目標を多職種間で共有していくことの重要性が挙げられ,スタッフの教育も必要であると感じている。本研究の限界は,入院時より施設退院が決まっている症例も混在し,入院時訪問を担当スタッフの判断で実施していることから,選択バイアスが生じた可能性が考えられる。

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究にかかわる全ての研究者は「ヘルシンキ宣言(2013 年10 月改訂)」および「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26 年度文部科学省・厚生労働省告示第3 号)」を遵守し実施した。また,当院倫理委員会の承認(承認番号wjk-rh002)を得て実施した。

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