主催: 日本理学療法士協会 九州ブロック会
会議名: 九州理学療法士学術大会2021 from SASEBO,長崎
回次: 1
開催地: 長崎
開催日: 2021/10/16 - 2021/10/17
p. 18
【目的】
当院通所リハビリテーションは開設から5 年が経過し利用者は増加傾向にある。通所リハビリテーションでは自立支援に向け、利用者の活動性向上や社会参加を促す支援が必要である。しかし当院では長期継続者が増加傾向の為、今後終了に向けたアプローチが必要である。そこで当院通所リハビリテーション終了者と長期継続者を比較し、適切な利用修了に向けたアプローチ立案の一助としたい。
【方法】
期間:2018 年4 月-2020 年5 月対象: 当院通所リハビリテーション利用者59 名項目: 対象者開始時年齢、性別、介護度、認知症老人の日常生活自立度、Barthel Index(BI)、家庭内役割有無解析: 終了群( 期間中利用終了者31 名) と継続群(2020 年5 月末時点で1 年以上の利用者28 名) 間の上記項目差異を統計解析した。また終了群の内、入院や死亡でなく症状軽快による修了者9 名についても継続群との差異を解析した。
【結果】
終了群内訳は女20 名・男11 名、開始時平均年齢80 歳、要介護度は15 名が要介護所持、介護度平均2.3、認知症老人の日常生活自立度II b 該当率29%、BI 平均80 点、家庭内役割保持率29%であった。通所リハビリテーション終了理由は入院11 名、入所2 名、死亡3 名、軽快修了9 名、その他6 名であった。他方継続群では女13 名・男15 名、開始時平均年齢76 歳、介護度平均2.2、認知症老人の日常生活自立度II b 該当率3.6%、BI 平均87 点、家庭内役割保持率61%であった。これらで有意差を認めたのは1) 開始時平均年齢(p=0.04)、2) 認知症老人の日常生活自立度(p=0.01)、3) 家庭内役割保持率(p=0.01) であった。また修了者9 名では要支援7 名、認知症老人の日常生活自立度は非該当6 名、平均リハビリテーション期間9 ヶ月、開始時は屋内歩行自立だが終了時には屋外歩行自立を獲得した者7 名であったが、継続群とはいずれも有意差を認めなかった。
【考察】
本研究では終了群は継続群と比べ1) 開始時平均年齢が高い、2) 認知症老人の日常生活自立度II b 該当率が高い、3) 家庭内役割保持率が低い結果となった。これらは終了群には入院又は死亡による終了を含む為と考察された。また継続群には若年時に発症し回復困難な後遺症を伴った脳卒中、神経難病者を含む為と考えられた。全国デイ・ケア協会による先行研究では、終了群は継続群に比べ1) 開始時平均年齢が低い、2) 認知症老人の日常生活自立度は非該当率が高い、と我々の結果と逆であった。これは先行研究では入院や死亡による終了者が含まれていない為と考えられる。当院では入院・入所や死亡による終了が42%を占め、元々高齢であり認知症が重度な者ほど家庭内役割を持てず、入院・入所に至ると考えられた。一方で入院や死亡を含まない修了者と継続者の比較も行ったが有意差を認めなかった。しかし先行研究と同様1) 介護度が低い、2) 認知症老人の日常生活自立度が軽度、3) 終了期間は1 年以内が多い等の傾向を認め、今後は症例数を増やす事で新たな結果が出ると期待される。また継続群に、介護度が低く認知症の無い者が11 名該当した。先行研究では利用期間2 年以上を経て軽快修了へ至る症例も一定数報告され、今後該当者の継続理由や目標設定へのアプローチ再検討により、適切な利用修了へ至ると期待される。
【まとめ】
当院通所リハビリテーション終了群での解析結果には先行研究と異なる結果が得られた。本研究では入院や死亡を含まない修了者と継続者間に有意差を認めなかったが、介護度が低い、認知症老人の日常生活自立度が軽度、1 年以内の終了という傾向を認めた。今後は修了者のみでの解析を行い、適切な早期修了をもたらす要因の解明が期待される。
【倫理的配慮,説明と同意】
当院倫理委員会承認を受け、情報収集を実施。