抄録
肩腱板完全断裂に対しMclaughlin法(以下M法)を施行された症例の予後調査を目的とした。男性9例(9肩)、女性2例(2肩)を断裂の最大径が5cm未満(以下S群)と5cm以上(以下L群)とに分類し、1)日整会肩疾患治療成績判定基準(以下JOA-S)による比較、2)自動運動による肩関節可動域・等尺性筋力の健側比の比較、3)断裂の大きさに対する術後の可動域・筋力の相関、4)経過観察期間に対する術後の可動域・筋力の相関を検討した。JOA-Sにおいて術後の疼痛・外転筋力・ADLではL群の方が成績不良の傾向にあった。術後の健側比では外転筋力の差が著明であり、断裂の大きさに対して負の相関関係(r=-0.86、P<0.01)を認めた。これらのことから、S群、L群間における術後の予後の差は明らかであることが示唆された。また、経過観察期間に対する術後の可動域・筋力の相関関係は認められず、ADL上で支障をきたしている症例は少なかった。ただし、重労働に従事して症状を強めることは考えられるため、患者の生活に沿った適切な術後指導を行い、術後長期の管理・定期検診を勧めることが重要であると考える。