日本LCA学会誌
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解説
土地利用に起因する生物多様性消失指標をLCAに導入する:その最新動向
Assumpció ANTÓN林 清忠湯 龍龍
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2017 年 13 巻 3 号 p. 239-244

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抄録

多くの国際的なイニシアティブは、生物の多様性は現在および将来世代にとって貴重な資産との認識を重視している。LCA研究においても、生物多様性消失の評価指標を提供するために多数の努力がなされている。土地利用由来の生物多様性消失をLCA研究の影響カテゴリーに含める重要性が認識されつつあることによって、UNEP-SETACライフサイクルイニシアティブが具体的な影響指標の使用に関するコンセンサスの構築とガイダンスの提供を後押ししている。本報告の目的は、LCAにおける最も一般的な生物多様性指標を紹介するとともに、UNEP-SETACが暫定的に推奨した土地利用に由来する生物多様性消失の評価方法を示す。最後に、現在の評価方法の課題と今後の展望を議論する。まだ多くの課題が残されているが、道筋ははっきりと示された。今後、より多くの事例評価が実施され、ローカルの特性化係数(CF: characterization factor)が開発されることにより、LCAにおける生物多様性評価がより容易になり、生物多様性を保護するための知見が蓄積されることを期待したい。

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