2018 年 14 巻 4 号 p. 292-301
サプライチェーンのグローバル化の進展や複雑化、近年の自然災害によるサプライチェーン寸断の事例を 背景に、サプライチェーンリスク管理(SCRM)が重要性を増しており、LCA研究を含めたSCRMへの科学的な貢献が期待されている。本稿では、これまでにLCA研究者が中心的な役割を担ったサプライチェーンリスクに 関わる研究事例として、地政学的な供給リスクをライフサイクル持続可能性評価の枠組みへ統合することを企図した一連の研究や、多地域間産業連関モデルを基礎とした金属資源の供給リスクの定量化、ライフサイクルインベントリのデータベースを用いたサプライチェーンの脆弱性評価についてレビューする。さらに、これらの研究の科学的な貢献と限界について考察し、SCRMへのアプローチの今後の発展可能性について議論する。