日本調理科学会誌
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グルテン構成タンパク質組成がパンの咀嚼・嚥下特性に与える影響
杉浦 文香伊藤 聖子新井 映子
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2014 年 47 巻 6 号 p. 305-311

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抄録
小麦粉のグルテン形成に関わるタンパク質組成は,製パン性や焼成後のパンの食感に大きな影響を与える。本研究では,グルテン構成タンパク質組成が摂食時のパンの食塊物性に与える影響について検討した。製パンに広く用いられる小麦粉から抽出されたグルテンを標準グルテン(SG)とし,SGの一部または全てを小麦タンパク質から調製された有機酸可溶性グルテン(ASG)で置換したものと小麦澱粉を混合し,タンパク質組成の異なる5種類の再構成小麦粉を調製した。ASG置換率が高い粉で製パンすると,パンのかたさ応力に変化は認められなかったが,凝集性は低下した。ASGの増加に伴い,模擬食塊のかたさ応力と付着性は低下し,パン粉末分散液の降伏応力は減少した。官能評価では,ASG 100%置換のパンはコントロールパン(SG 100%)よりもやわらかく,まとまりやすい食塊を形成すると評価された。これらの結果より,小麦粉のタンパク質組成は,パンの食塊物性に影響を与えることが判明した。
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© 2014 一般社団法人日本調理科学会
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