2025 年 21 巻 1 号 p. 3-9
本稿では、日本における畜産デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するための技術(畜産 DX技術)の動向について報告する。畜産 DX 技術は、スマート畜舎による環境制御、搾乳ロボットや自動給餌ロボットによる作業の自動化、センサによる発情や分娩時期の予測及び群管理による営農支援システムなど、多岐にわたる。さらに、家畜の遠隔診療を支援する DX 技術の普及や、金融機関による牛を担保とした動産担保融資(ABL)を支援する DX 技術の開発・導入が始まっている。また、畜産 DX 技術は畜産部門の特有の問題であるアニマルウェルフェアや環境負荷の低減に貢献する技術でもある。今後は、データサイエンスや人工知能(AI)などを活用した、ソフト面でのデータ駆動型の畜産 DX 技術の開発が期待される。