2016 年 36 巻 2 号 p. 5-20
筆者は,ネットスーパー業態におけるマーケティング成果としての利用者のロイヤルティが,買物満足と信頼性,それに両者を媒介して影響を及ぼすと想定される小売マーケティング要因によって規定されることを実証的に明らかにした(Moriuchi and Takahashi)。しかしながら,そこで用いたデータは,2012年という単一時点で収集されたクロスセクションデータであり,真に継続的に業態ロイヤルな利用者のみが分析対象となっていたわけではなかった。そこで,2012年調査の回答者に,今回再度,調査を行い,その後も継続利用している回答者を真の業態ロイヤルユーザーと位置づけ,まず,彼らの利用行動と意識を2012年のネットスーパー利用者全体のそれと比較し,次に,ロイヤルティを規定するとされた買物満足と信頼性に対し,小売マーケティング要因と,同一業態および異業態との競争とがいかなる影響力をもつかについて,それぞれ階層的重回帰分析を用いて明らかにした。これらの分析の結果を踏まえ,最後にイノベーターとしてのネットスーパー業態が抱える課題を指摘した。