2018 年 37 巻 3 号 p. 54-76
本論はマーケティング・コミュニケーションにおいて,どのような視点でクリエイティブを行うことが有効であるのかについて論じている。特に本論では物語広告を中心とする。物語は強い説得効果を持つが,マーケティング・コミュニケーションにおいて,どのようにして物語広告のクリエイティブを考えるのか,マネジメントするのかという議論はあまり行われてこなかった。本論では,物語論や創作論,心理学,マーケティングの視点を踏まえて,クリエイティブに関する考察を行った。その結果,物語広告のクリエイティブにおいて有用であると勘考される要素は,登場人物,意図性,因果性,物語構成である。これらの要素が受け手に理解できるように描かれているかが,広告効果に影響するものであると考えられる。