マーケティングジャーナル
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マーケティングケース
中国発の日本ブランドはいかに作られたか
― 名創優品産業 ―
金 春姫
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2019 年 39 巻 1 号 p. 106-118

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Abstract

このケースでは,2013年に創業した名創優品産業に注目する。日本発ファストファッションデザインをコンセプトに,グローバル本社は東京銀座にあるとしながら,実質上は中国企業である。中国で空白だった格安雑貨ショップのビジネスモデルを作り上げ,最近は日本ブランドとして積極的に海外進出を進めている。本稿では,この中国発の日本ブランドが作られた経緯を整理する。

Translated Abstract

MINISO is a rapidly growing company which was established in Tokyo in 2013. Although it has the concept of a Japan-based designer brand, it is basically a Chinese company. MINISO has opened over 3,500 stores in 79 countries worldwide, with sales reaching USD 2.5 billion in 2018. This paper focuses on the process of how this brand was made.

図1

カンボジア・シェムリアップのMINISO店舗

出所:上原渉氏より提供

I. はじめに

1998年6月のある日の夕暮れ,一人の青年が中国湖北省から南へ向かう列車の中にいた。名前は葉国富。1977年に湖北省十堰丹江口の小さな村で生まれ,中学を卒業後,地元の専門学校に進学する。が,貧しい家計から学費を捻出できず中退となり,19歳で広東省に出稼ぎに出ることになったのだ。

その15年後の2013年,この青年は名創優品産業を立ち上げ,名実ともに中国の小売業界に旋風を起こすことになる。創業して1年後,葉は胡潤研究院が毎年発表している中国長者番付「胡潤百富榜」に初登場。2019年2月で発表された最新版では,推定個人資産100億元(約1,650億円)1)で354位にランクインした。2018年末には,同じ胡潤研究院が発表する「最も尊敬される青年実業家」として表彰されており,数々の大会や大学で講演をこなすスター企業家として成功を収めている。

一方で,ロゴはユニクロに,雰囲気は無印良品に,品揃えと価格帯はダイソーに似ているという奇妙な店舗形態から,創業当初から常に国内外から懐疑と非難の目を向けられてきた。とくに日本からは否定的な見方が多いが,中国市場の近年の変化や中国企業の行動を理解するには非常に興味深いケースだと考えられる2)

本稿はおもに,書籍3),同社HP,そしてこれまでの葉の出演番組や各種メディアの報道に基づきながら,この中国発日本ブランドがいかに作られたか見ていく。

II. 名創優品とは

1. 会社の概要

名創優品産業が展開する小売店舗は,MINISOというブランド名を用いている(中国語では「名創」,日本語では「メイソウ」と呼ばれることが多い)。2013年に葉国富が日本の三宅順也と合同で設立し,グローバル本社は東京都中央区銀座にあるとしている。以下では同社HPに基づいて会社の概要について見てみよう。

同社は,シンプルでナチュラル,質感のあるライフスタイルをコンセプトに,良質でデザイン性に富んだ商品をグローバル消費者に安く提供することを企業使命としている。商品構成は,生活雑貨,美容健康,アクセサリー,食品・飲料,玩具など。「日本発のファストファッションデザイン」,「100%日本品質」を謳っているが,もちろん8~9割は中国製だ。残りの1~2割はグローバルで仕入れているが,食品・飲料が多い。

日本発のブランド・イメージを作るため,商品パッケージには日本語が併記されることが多いが,特に創業当初は不自然な日本語表記が多かった。三宅はかつて日系メディアの取材に対して,「商品をチェックしたことがない」と述べたと報じられている4)。なお,この問題は現在は大幅に改善され,当初ほどの違和感はない。

創業以来,名創は中国国内外で驚異的なスピードで拡大を続け,中国の小売業界の奇跡といわれている。2013年11月に中国広州市で第1号店をオープンしてから,2018年末現在,国内店舗数は2,300弱に達する。2015年から海外進出も進めており,香港とシンガポールを皮切りに,79の国や地域―東南アジア,南西アジア,オセアニア,中東,北米,アフリカなど―で約1,200店と急拡大している。

国内外全体でみる従業員数は合わせて3万人に達し,売上高は2013年の4億元(約66億円)から,2018年末現在の170億元(約2,800億円)にまで膨らんだ。年間10億人がメイソウの店舗を訪れ,3億人以上が実際に買い物していると言われる。

なお,日本では関東圏を中心に6店舗展開中。化粧品と食料品の販売許可を取っていないため雑貨,日用品を中心とした品揃えで,店舗数も個別店舗の規模も中国本土に比べて大きく見劣りしているのが現状である5)

2. マーケティング戦略の特徴

名創のターゲット層は15歳~35歳の都市部の消費者,特に18~28歳の一線,二線都市の若い女性消費者をメインターゲットとしている6)

ポジショニングは,ダイソーと無印良品の間,とわかりやすく表現されることが多い。「ダイソーは価格は安いが,デザインが良くなく,個性もない」,「無印良品はデザインはいいが,中国消費者にとって価格が高すぎる。1/5以下の価格で同等な商品を提供したい」としている。「ベンチマークは無印良品」だとし,「無印良品が一番恐れる相手」と自称している7)

以下では同社が掲げる「四好」理念8)―よい商品,よい価格,よいチャネル,よいプロモーション―について見ていく。

(1) 「よい商品」

「よい商品」はビジネスの基本中の基本,と葉は多くの講演で述べているが,そのためにはサプライチェーンの統合とマネジメントが重要である。

同社は国内の1,000社以上の優良メーカー(外資系を含む)から仕入れ,直接店舗に並べている。これらのメーカーはそのほとんどが珠江デルタと長江デルタに製造拠点を持ち,それぞれの業界内でトップレベルの製造技術を有している。従来は,基本的に外国企業のために先進国市場向けの高品質な商品を提供し,国内企業と手を組むことがほとんどなかったサプライヤーだ。例えば,名創の靴下やスリッパーはユニクロや無印良品,インテリア雑貨はイケアと同じサプライヤーだったりする9)

これらの優良サプライヤーを獲得できた秘訣は,大量発注と完全買取,そして迅速な代金支払い制度である。業界の慣習では,小売業者からサプライヤーへの代金支払い期限が3ヶ月ほどだったのに対し,名創は2週間に短縮したことで信頼関係を結ぶことができた。

ただの高品質だけでなく,デザインも重要だ。ファストファッションブランドということでトレンドに敏感でなければならない。名創は数百名のバイヤー(ほとんどが若い女性)とデザイナー(専属とフリーランス契約両方)を抱えながら,常にグローバル範囲でトレンドをチェックし,デザインの素材を集めている。それらのトレンドを反映して中国市場向けに開発された新商品を週2回のペースで店舗に並べることで,消費者を飽きさせないように工夫している。

最近はMOD(MINISO Original Design)チームを立ち上げ,オリジナル・デザインに力を入れ始め,海外の有名なデザイン賞を積極的に狙うようになった。その結果,iFデザインアワード2018に4商品,2019に3商品が受賞し,4商品がreddotアワード2018を受賞している。

図2

reddotアワード2018を受賞した波ノート

出所:reddot HP(https://www.red-dot.org/project/the-wave-book-23696)

同社は最近,「世界中のデザイナーのインキュベーターになる」と宣言しており,優秀なサプライヤー群と販売網により,デザイン・アイディアを迅速に商品化できることを強みとしている。2019年3月のデザイン上海での同社出店ブースには,イタリアのCrash Baggage,韓国BOUD,広州美術学院生活アトリエなどの多彩な顔ぶれのデザイナー・チームが登場した。Crash Baggageとのコラボ商品は近く名創の店舗に並ぶ予定。また,北欧のPermafrostや「色の権威」として世界的に知られるパントン(Pantone)とのコラボ商品も展示した10)

(2) 「よい価格」

よい商品はよい価格と組み合わせないと意味がないと考える葉は,「一流ブランドに照準を合わせて,同じレベルの商品を少なくとも1/3~1/10の価格で提供する」ことを目指す。そのために,全国の優良メーカーからの大量発注と完全買取の上に,自社チャネルに直接並べることで中間コストを徹底的に削減している。

その結果,名創の多くの商品単価は10~29元(約165~480円)で,高くても99元(約1,600円)までとなっている。「小米がデジタル商品の価格を破壊したならば,私は日用品領域でそれをやりたい」とも葉は述べている11)。なお,同社の粗利益率はわずか7%~8%と,まさに薄利多売ビジネスである12)

同社HPで重点的に紹介されているサプライヤー3社をみてみよう。

まずは,化粧品ODM(Original Design Manufacturing)で世界最大手のイタリア・インターコス。2014年から名創と接触を始め,2015年末から正式パートナーになった。つぎは,フレグランスとフレーバー業界のトップに君臨するジボタン(Givaudan)。スイスに本部をおき,数々のラグジュアリー・ブランドに商品を提供することで有名だ。名創の粘り強いアプローチの末に協力関係を結んだ。最後のアモイ嘉誠工業は,中国のステンレス製食器製造のトップメーカー(外資)で,ドイツ発の名門ツヴィリング(ZWILLING)を含む多くの外国ブランドの商品製造を請け負ってきた。それまで国内での商品提供先は釣魚台国賓館のみだったそうだ。

図3

「花漾」シリーズ香水

出所:筆者撮影

こういった優秀なサプライヤーとの協力関係の下で,数々のベストセラーが生み出された。たとえば,ロレアルと同じサプライヤーによって提供されたアイブロウペンシルは,発売して2年未満で1億本以上売り上げた。単価はわずか10元(約165円)で,同じ生産ラインで製造しているロレアルの1/10の価格である。また,ジボタンの専属調香師Carine Boinとのコラボで商品化された「花漾」シリーズの香水(35 ml)は,2016年3月に39元(約640円)で発売されると瞬く間にベストセラーに。月あたり50万個,発売以降2年弱で2億元(約33億円)売り上げる。葉の狙い通り,「中国の若い消費者にとっての人生初の香水」を実現したといっても過言ではない。

これらの優秀なサプライヤー群は,名創に高いコストパフォーマンスの商品を提供しただけでなく,「国際的な一流ブランド○○と同じメーカーが作った」,「国際的な著名サプライヤー○○が提供した」などの宣伝文句によって,名創のブランド・イメージに大いに寄与することになった。しかし一方では,某ラグジュアリー・ブランドと見た目がそっくりで,パクリとの批判が常に付きまとうことにもなるが,多くサプライヤーがODMメーカーという事実からみてもこうした事態は必然ともいえよう。

(3) 「よいチャネル」

店舗の立地は,人の流れを最優先し,人口30万人以上の都市のショッピングモール,商店街,公共交通機関の駅や学校周辺が理想とされる。店舗の室内面積は200平米以上,間口8メートル以上が望ましい13)。店舗内は白を基調にしたシンプルでモダンな設計で,商品棚はこれまたルイ・ヴィトンと同じメーカーから仕入れており,200平米の店舗で約40万元(約660万円)の内装費をかけている14)。陳列,照明などのデイテールも,海外の企業から学習しつつ日々改善を続けている。

サービスは日本式を導入している。中国の多くの小売店で見られるような,消費者へのしつこいアプローチは禁止,店員の仕事は「衛生管理,商品陳列,盗難防止」のみと明確に規定している。こういった取組と低価格設定で,消費者にとって「零圧力(プレッシャーを感じさせない)」の買い物環境を作り上げている。現金の受け渡しの際にトレーを使うのも日本式で,中国ではユニクロと名創だけといわれるが,実際にはほとんどモバイル決済なのであまり意味はなさそうだ。

(4) 「よいプロモーション」

創業当初から伝統的な広告は打たない主義を徹底している。破格的な価格設定のために広告費は無駄でしかないという判断だ。人の流れが多い一等地に短時間に複数の店舗を出すことで,それ自体が最大の広告となる。

2015年ごろからSNSには力を入れ始め,中国最大のSNSであるWeChatの公式アカウントを同年10月に開設した。フォローすると買物袋をプレゼントするキャンペーンを1年間実施し,累計1億個の買物袋が送られたとしている。買い物した人々が街を歩くだけで宣伝になった。

事業拡大に伴って,最近はスターの起用やコンテンツ・マーケティングも始めた。2017年は,アメリカNBAで活躍していた林書豪と有名歌手や俳優が一緒にプレイするオールスターゲームの単独スポンサーになった。イベント当日はテンセント傘下の動画サービス・プラットフォームで生中継され,その後計50万回以上の再生数を達成した。若年層における韓流人気に合わせて韓国ドラマのスポンサーになったこともある。

また,国内でトップレベルの人気を誇る男性アイドル鹿晗と契約し,ファンイベントなどを積極的に開催している。2017年7月の七夕(中国ではもう一つのバレンタインデー)には,一部のファンの告白文をNYのタイムズスクエアのスクリーンに映すイベントを仕掛け,大きな反響を呼んだ。2018年は鹿と女性アイドル关晓彤を起用したドラマのスポンサーになり,名創のベストセラー商品がドラマのシーンに何度も登場した。同時期にオフライン店舗でも連動して体験型イベントを開催するなど,ターゲット層に寄り添ったプロモーションを徹底している。

以上で,同社のマーケティング戦略の特徴についてみてきたが,次節ではその背後の仕組みについてみていく。

III. 背後の仕組み

1. 店舗展開

名創の店舗には,直営,合同とLP(Limited Partner)加盟の3つのパターンがある。最初の1年間は自己資金による直営が中心だったが,2年目から人気が出るに連れて加盟式が増え始め,現在はLP加盟が大半を占めるようになっている。2016年末時点で,LP加盟はすでに全体の75%を占めている15)。合同とは,パートナーと出資額と利益を折半する方式で,初期の海外展開で多く採用された。

LP加盟方式により,店舗の内装から商品の仕入れ,販売管理,従業員教育まで全てを名創本部が行い,オーナーが用意するのは場所16)と初期資金のみである。その初期資金の内訳をみると,①ブランド使用権8万元(約130万円),②商品保証金75万元(約1,240万円,加盟期間終了後に全額返金17)),③内装手付金(設計図面や物資は本部から支給され,施工部隊も本部が手配),の3種類となる。その他,通常運営における店舗の賃料,商品運搬費,光熱費,人件費と税金もオーナー負担。決算は1日ごとに行われ,前日の売り上げの38%(食品・飲料は33%)が翌日にオーナーに支払われる。

「楽なオーナーになろう」との宣伝文句で,特に最初は加盟の申込が殺到した。場所と初期資金のみ負担して,店の運営も在庫リスクも心配しなくていいので多くのオーナーにとって魅力的な案件だったと見られ,加盟待ちが数ヶ月になることもあったほどである18)

また,優秀なパートナー選びも店舗急拡大の要因の一つだ。国内で最大級のパートナーである某アパレル販売業者は,自身の既存のネットワークを使って全国の万達広場19)の一等地に短時間で60店舗を設立,総投資額は計1.5億元(約25億円)に及ぶそうだ20)。後述のように,2010年以降に始まったネット通販の急成長に伴ったオフライン・チャネルの低迷により,多くの好立地の店舗が空き状態だったのも一因。「ジャック・マーに感謝しなければならない」と葉は冗談半分で述べている21)

海外展開は,2015年に現地パートナーとの合同方式で,香港とシンガポールで一気に30店舗設立という成功事例を作ったのが最初の一歩となった。その後,他の国や地域でも現地の有力パートナーと手を組むことで,短時間に複数の店舗展開が可能になった。

2. 現代的な物流システム

多くの中国の小売企業と違って,名創は創業当初からERP(企業資源計画,Enterprise Resource Planning)システムを導入し,効率的なサプライチェーン・マネジメントを目指していた。最初のシステムは,2013年の1号店オープン当時からすでに稼動している。委託先は国内企業で,総投資額は3,000万元(約4億9,500万円)に上った。なお,2018年9月からはグローバル戦略に合わせてSAPシステムが稼動開始し,中国,米国,インドネシア市場で試験的運用が始まっている。

こういった現代的な物流システムのおかげで,急速に拡大する販売網に対しても迅速に対応することができた。同社の商品回転率は,一般的な中国の百貨店の3~4ヶ月に対し,平均21日となっている。同時に,超高速に物流拠点建設を進め,2016年末時点で全国7ヶ所に自社の物流拠点を建設しており,そのスピードは業界平均の3倍以上だ22)

上記の2点は,成功の秘訣として葉自身によっても講演や取材で度々紹介されているが,以下ではあまり語られていない開店資金支援の仕組みについて簡単に紹介したい。

3. 開店資金支援

葉は名創優品産業の大中華区総裁のほかに,広東賽曼グループの董事長という肩書きを持っている。葉の持ち株比率が98%で,事実上の個人所有だ。設立は2013年7月,名優創業時期と重なる。

賽曼グループが手がけている数多くの事業の中に,名創の急成長を支えたフィンテック事業の分利宝がある。分利宝とは,零細企業に融資を行うソーシャル・レンディング(Person-to-Business, P2B)プラットフォームで,2015年9月から運営開始した。名創の開店支援のための事業との報道もあるが,実際にはサプライヤーにも,自社と関係ない事業にも幅広く融資を行っている。なお,葉は分利宝の設立当初は董事長の身分だったが,いまは表舞台に出ていない。同社HPの企業情報によると,法定代理人は莫劲雲となっている。しかし,賽曼グループの主要メンバーの鄭明勇が監査役に就任しているなど,葉との繋がりが見え隠れする23)

名創の開店資金援助の仕組みは簡単で,名創が担保の主体になり,加盟店が融資を受ける。その融資資金の多くは,ブランド使用権や商品保証金で名創に戻ってくる。融資をする側と受ける側が実質上同じとの指摘もあり,法律上はギリギリのラインになる。一方で,この形式は双方の情報の非対称性をうまく解消し,加盟店の運営状況もよりよく把握できるため,融資側としてのリスク軽減にもつながり,一種のイノベーションとの声もある。しかし,このビジネスモデルは名創の事業が順調に成長することを前提としており,事業低迷の場合は貸し倒れリスクが懸念される。

分利宝の事業はいまのところ順調のようだ。資本金2.2億元(約36億円)で始まったが1年で黒字達成。2017年7月,広州市政府系投資ファンド南粤資金の3,000万元(約4億9,500万円)の戦略的投資を受け,「国有がバッググラウンドに」がセールスポイントとなった。HPによると,2019年2月28日現在投資家は18.97万人,累計取引額56億元(約930億円)となっている。

ここまでみてきたように,名創の急成長は的確なマーケティング戦略と背後の周到な仕組みによって支えられてきたことがわかる。では葉がどういった経緯で名創創業に至ったのか,次節でみてみよう。

IV. 創業に至るまで

1. 創業準備段階(1998~2005)

1998年,だった一人で広東省に出稼ぎに出た葉は,3ヵ月後にやっと金属製品の営業マンの職につく。中卒という学歴上のハンディを背負いながら,1年後は営業成績トップになり,年末ボーナス12万元(約200万円)と,当時にしては大金を手に入れるようになった。2000年に友人からの情報を頼りに福建省で陶器製品の販売を手がけるが1年で手放す。40~50万元(約660~820万円)の損失を負ったが,めげずその後もアパレル販売やプリクラなど,手当たり次第手を出していく。

2001年末のあるセールス講座で,のちに結婚することになる化粧品販売職の楊雲雲に出会う。二人は,当時仏山市でもっとも人気だったショッピングモールで店舗を借りて化粧品販売を始め,年間40万元(約660万円)の利益を上げるほどになる。

2004年のある日,葉は元従業員との雑談の中で,彼女が働いているアクセサリー販売店の日商が4,000~5,000元(約6万6,000円~8万3,000円)に上ることを聞く。アクセサリー市場の潜在性に気づいた彼はすぐ広州に考察に出かける。そこで多くの10元(約165円)ショップを目にし,また広州市で流行したものが時間差で仏山でも流行ることにも気がつく。程なくして仏山市初の10元ショップが開業した。流行に合ったアクセサリー類を手ごろな値段で販売するこの業態が受け,数ヶ月後に広州市にも進出を果たす。

2. 名創の前身「哎呀呀」創業(2005~2013)

2005年3月,ついに正式に会社を設立した。会社名の由来は,10元ショップ時代に店舗を訪れた若い女性消費者たちが喜びのあまり発した感嘆詞「哎呀呀」だそうだ。店舗は明るくポップな雰囲気で,粗利益率を同業他社の1/3におさえたことで,商品単価は10~30元(約160~480円)と手ごろな値段設定。その結果,ターゲットとした10~20代の女性消費者を虜にしていった。

取り扱う商品はすべてOEM生産で,会社内部にデザイナーとバイヤーを抱え,積極的に新商品を取り入れていた。しかし,流行の最先端を知るには自社だけでは足りないと感じた葉は,早い段階から日本や韓国の企業と一緒に商品開発を試みる。また,広州市に大型物流センターを設け,各直営店と加盟店に出荷を始める。創業して1年経ったごろから追随者が多く現れ,頭を悩ませることになる。そこで打ち出したのがスターを起用した広告戦略。この戦略が功を奏しその後も急成長を続ける24)

2008年に入って,現状に満足することのない葉は1,500万元(約2億4,800円)を投資し,業界初となるERPを導入した。家電や総合量販店のような業態ならまたしても,格安アクセサリーの販売業界でERPは大げさだとの声も多かったが,葉は「ERPで,モノ,ヒト,カネと情報の流れを整理することによって,若い女性ターゲット層のデータをより正確に把握することは必ず将来に役立つ」と反論した。この取組のおかげもあり,哎呀呀の店舗数は2010年には3,000まで拡大し,売上げも10億元(約165億円)を超え,国内アクセサリー小売業でNo.1の座を手に入れる25)。ターゲット層が集中する学校の周辺に多く出店しており,当時全国の主要都市で学生生活を送った女性で哎呀呀を知らない人は少ないだろう。

哎呀呀の成功に伴い,葉は社会的な名声も得るようになる。2012年11月は最年少で広東省第12期人大代表に当選し,翌年は広東省では唯一,共青団中央第5期「中国青年創業賞」にノーミネートされている。地元メディアだけでなく,2010年には国営のCCTVの番組「奮闘」への出演も果たすなど,徐々に世間に名を知られるようになった。

この哎呀呀で蓄積した豊富な経験と知識,潤沢な資金,広い人脈がのちの名創の急成長を可能にした。なお,上記のCCTVの番組で葉は,2015年までに全国で1万店の目標を述べているが,名創創業に伴ってより大きな夢に向かって走り出すことになる。

3. 名創優品創業(2013~)

2010年以降,中国の小売業界は景気悪化とネット通販の急成長の二重苦に直面し,閉店ラッシュを迎え,いわゆる「寒冬の時代」に突入する。哎呀呀も徐々に頭うちが見えてきて再び頭を悩ますことになった葉は,頻繁に海外視察に出かける。米国,デンマーク,日本や韓国などの小売現場の中で,最も心を動かされたのが日本だった。

葉が日本で目にしたのは,当時の小売業界の(中国に比べて)盛況ぶりだった。百貨店は元気そうに見えたし,セレクトショップも多く,にぎわっている。伝統小売チャネルは日本でまだ生きていた。売り場は清潔でモダンなデザイン,店員の押し売りもなく丁寧な接客が施されており,日本の小売場は中国に比べて遥かに快適だった。しかも,値段は中国より安く合理的だ。葉は中国の小売業の効率の低さや売り場環境の問題点を痛感させられる。実店舗がこんな魅力的だったら,消費者がすぐネット通販に乗り換えることもないだろう。「中国の小売業衰退の元凶は,インターネットではなく,小売業自身だ」と,葉はその後複数の講演で述べている。

特に,自身が手がける業態と近い,ダイソーをはじめとする格安ショップで葉は大きな感銘を受ける。日本の格安ショップで売られている商品のほとんどは中国製だが,シンプルでナチュラルなデザイで,しかも中国より遥かに安い値段で売られている。こんな商品なら,中国だけでなく他の発展途上国でも受け入れられるはずだと夢を膨らませていたところ,1973年生まれの日本人デザイナー三宅順也に出会う。

三宅について,名創優品日本のHPから原文のまま引用する。

三宅順也は,世界的なグッドライフグッズトレンドのトップランナー。多くの世界的にも有名なブランドのデザインを担当。ジャパンデザイナーブランドMINISO名創優品グローバル共同創始者/チーフデザイナーである。高田賢三(KENZOの創業者),山本耀司,コシノジュンコを輩出したことで知られる「文化服装学院」を卒業。日本や欧米など主要市場の経済が低迷している中で,消費者はより良いブランドとコストパフォーマンスを求める傾向が強くなっている。そんな中,三宅順也は日本人の視点からシンプル,ナチュラル,ハイクオリティの製品をグローバル市場に広めるべく,MINISO名創優品の発展に注力している。

両氏の出会いは2013年の3月。小雨の降る夕方,共通の知人を通して東京のレストランで夕食を共にすることになった。三宅は当時,アパレル関係のデザイナーとして中国沿海部を頻繁に訪れていたこともあり,中国市場についてある程度理解していた。両国の市場の歴史や現状,デザイン・トレンドの変化などについて話し合う中で,葉は日本のビジネスモデルを中国に向けてアレンジすればきっと成功するはずだと熱弁を振るう。なかなか決断を出せずにいた三宅だが,最終的には葉に説得され,7月に入ってついに合同で起業することで合意する。

2ヶ月後に日本で会社登記が完了した。三宅がデザインと日本事業担当,葉がサプライチェーン・マネジメントと中国事業担当という役割分担になった。商標登録は中国では2013年9月,日本では2014年4月となっている。店舗も,中国での1号店が2013年11月に広州で,日本での1号店は翌2014年7月に池袋でオープンした。日本企業と謳いながら,商標登録も店舗開設も中国が先ということで,エセ日本ブランドだと国内外から懐疑的な目を向けられたが,この時間差は単に両国の商標登録の手続きが異なることと,三宅がビジネスに詳しくなかった(会社登記と商標登録を混同していた)ため,申請が遅れただけだと葉は後日釈明している26)

なお,三宅は日本で無名な上に,中国でも当初は表舞台に出ることがあまりなかったため,実は三宅という人物自体存在しないのではないかとの噂も立つほどだったが,2016年に人気経済番組「財経郎眼」に葉と共に出演し,メディア初登場となった。三宅は同年のシンガポールでのイベントで記者に対して,「(会社が)こんなに急速に成長するとは思っていなかった」と率直に述べており,名創の発展は同氏の予想を遥かに超えたものだったと思われる。

図4

二人の創業者

出所:杜(2017)

4. 葉の人物像

葉は故郷の訛りの強い標準語を話し,食べるのも話すのも歩くのも速い。勉強熱心でおしゃべり。人の心を動かすのがうまい。飛行機は基本エコノミー席。相手がどんなに大物の経営者や,著名な学者,評論家だろうと動じることなく常に自信たっぷりに自分の意見を述べる。他の会社や経営者を批評するのが大好きなことから「葉大砲」という異名も持つ。特にオフライン・チャネルの衰退をもたらしたとされているネット通販業界に激しく反発しており,何度もアリババの馬雲(ジャック・マー)を名指しで批判しているが,馬からの反応はない。なお,一番好きな企業はユニクロとコストコで,国内企業ではHUAWEIがお気に入りだ。

本格的に葉の知名度を全国区にしたきっかけは,2015年9月に行われた,著名な経済ジャーナリスト呉暁波との対談だ。対談で葉は自身の生い立ちから,名創創業までの経緯とビジネスモデルについて惜しみなく披露している。アリババが大手家電量販チェーンの蘇寧電器に200億元(約3,300億円)出資した件について,「蘇寧は名創に比べると価値はゼロに近い。店舗を訪れる人の層や流れを見ても一目瞭然。あちらの店舗に行く人はみんな45歳以上の「老人」。インターネットへの不信感が強い人たちだ。名創の消費者は30歳以下の若い層。名創は今日,中国で最も多くの顧客が訪れているオフライン店舗だ」と公言し,絶対的な自信を見せる。

ちなみに,対談で葉はエセ日本ブランドと非難されることへの苦悩も率直に見せている。それに対して呉は「市場の本質は競争だ。モノがよければいい。私だって盗作だと言われることがあるが気にしない」と助言している。名創の創業ストーリーとビジネスモデルについて,呉は高く評価し,以下のように述べている。

名創は最後の壁を破った。つまり,小売店舗での(無駄なコストによる高すぎる)価格と,ブランド側の強すぎる価格決定力。この二つを破ったらそこに空白が生まれたのだ。競争のポイントは,オンラインかオフラインかではなく,工場から店舗への距離にあるかもしれない。27)

この対談は,「どこか怪しげな10元ショップ」の印象が強かった名創と葉にお墨付きを与え,全国で大きな反響を呼ぶ。2016年に呉はチームを引き連れて3ヶ月間名創を取材し続け,その成果をまとめたのが杜(2017)となる。

V. 最近の動向と課題

さらなる躍進を目指して,2018年の1月に名創はついに上場計画を発表し,それに向けて外部資金の導入やオンライン戦略の強化に乗り出した。また,名創を軸にした多角化を推し進めるなど活発な動きを見せているが,課題も多い。

1. 上場に向けた動き

7ヶ月の交渉の末,2018年9月,名創はテンセントと高嶺資本から10億元(約165億円)の戦略的投資を受け入れることで合意したと発表した。名創のキャッシュフローは創業当初から一貫して充足しているため,経営への干渉を嫌う葉は外部資金には消極的だったが,今後の事業拡大に向けて下した決断となる。

中国屈指のガリバー企業テンセント(WeChatやQQなどSNSの運営でよく知られる)だが,近年は京東(JD),永輝スーパー,カルフールなど小売業界への投資を頻繁に行っている。テンセンの投資スタイルは比較的温和で,会社の運営には口を出さない点も決め手だったと見られる。一方の高嶺資本は,2005年に設立されたアジア最大規模の私募ファンドの一つで,これまで消費,小売,ハイテック,医療,フィンテック,製造業など広い領域で一流企業をバックアップしてきた。たとえば,百度,テンセント,京東,携程,Airbnb,Uber,美的,格力,滴滴出行,蔚來自動車,Mobikeなど。短期のリターンより長期的な視点から共に成長していく姿勢で業界内で高い評判を得ている。この両社との合意は,名創の上場に向けた強力なステップアップと見られている。

同じ時期に,それまでオフラインで絶対的な自信をみせてきた葉は,京東との戦略的提携を公表した。消費者から店舗までの「最後の1㎞」の解消が目標だとしている。2018年9月末時点で,名創の全国33都市の800弱の店舗が京東到家(各種生活サービスをシェアリングするプラットフォーム)に加入し,取り扱いSKUは5,000あまり。名創の強力なサプライチェーンと京東のビッグデータの結合で,さらなる競争力強化を目指すことになる。

2. 多角化戦略

葉は所有する投資会社を通して幅広い領域に投資を行っているが,同時に名創を軸とした多角化に向けても積極的に動いている。

背景には,生活雑貨への中国消費者の意識の高まりがある。これまで名創のメインターゲット層でもあった80後,90後が,家具・インテリア市場のおもな顧客として本格的に台頭してきた。この層は上の世代に比べて洗練されており,デザインを重視し,高級ブランドに盲目的に走るのは野暮ったいと嫌う。コストパフォーマンスに敏感で,生活空間への意識も高い。

そこで名創が始めたのが,インテリア雑貨と家具を販売する新しい形態MINIHOME。個性的でクリエイティブ,かつコストパフォーマンスの高い家具・インテリア商品を消費者に提供するとしている。ビジネスモデルは名創そのものだが,最近中国でも起きている北欧デザイン・ブームを受け,今度は北欧デザイナーズ・ブランドと位置づけている。現在,広州と深センで3つの,いずれも1,000平米以上の大規模な売り場を設けるとともに,オンラインでも販売を行う。

図5

MINIHOMEの北欧デザイナー・チーム(Permafrost Team)

注:MINIHOME HPより

つぎに,インテリア・ブランドJordan & Judyの新規立ち上げも行った。同社は東莞に6つの工場(累計面積10万m2,従業員数3,000人以上)を所有する大手ODM工場として,これまでの14年間おもに外国企業向けに商品提供してきた。名創優品の最大のサプライヤーの一つでもあったが,B2C市場に参入することになった。キッチン用品やインテリア小物を専門に,商品単価は20~40元(約330~660円)。名創より少し上のポジションを狙う。名創のビジネスモデルとの違いは,自社チャネルは構築せず,名創を含む複数のチャネルで販売する点にある。

3. 課題

名創は,創業当初から常に疑惑の目でみられてきたが,多くはそのビジネスモデルとあまりの速い成長スピードによる。

例えば品質問題,特に化粧品関係で頻出している。2018年だけでも中国国内と韓国市場で化粧品の有害成分が基準値を大幅に超えたとの報道が複数回されている。また,複数の企業から訴訟を起こされている。「中国企業家」誌が天眼査28)で調べた結果によると,名創関連の訴訟は30件以上。そのうち外観のデザイン特許,著作権に関する訴訟が9件で,相手にはワットソンなどの大手競合他社も含まれている29)

こういった訴えに対して,葉は強気の態度をとっている。サプライヤーの多くがODM企業のためこういった事態は避けられないと釈明しつつ,イヴァンカ・トランプがイタリアのブランドからデザイン盗用疑惑で訴えられたことを引き合いに出して,「デザイン業界で互いに参考したり学んだりすることはよくある」と開き直っている。

一方で,名創はコピーされる側でもある。創業当初から多くの追随者が現れては消えまた現れているが,そんな中で最近メディアで大きく報じられたのはNOMEと争いだ。

現在中国市場には二つのNOMEがある。一つは85後の若手起業家陳浩が設立したブランドで,スウェーデン発の独立系デザイナーズ・ブランドを謳い,本部はストックホルムにあるとしている。商品構成はインテリア雑貨メインで,化粧品,デジタル雑貨以外に,アパレルも扱っている。2017年に創業以来急成長中だが,ビジネスモデルは名創にそっくりだ。もう一つは,名創が2018年春から展開しているブランドで,まったく同じブランド名でロゴも店舗デザインも瓜二つ(写真6)。

図6

二つのNOME

注:上が名創のNOME,下が陳のNOMEのロゴ

商業登録申請も事業開始も陳の方が早く,店舗数も陳のNOMEが名創のより多い。中国の商標登録審査期間は通常1–2年間かかるため,正式には両社ともまだ商標を持っていないことになるが,事実関係からみると葉の勝算はあまりないように見える。この争いについて,葉は2018年末,中国企業家誌のインタビューで次のように述べている30)

我々に非はない。NOMEの大多数の創業メンバーはこっちから出ていった人たちだ。商業秘密が絡むので訴訟準備中。これは複雑な問題だ。

要するに,北欧系ブランドの新規立ち上げを名創内部で検討されていたが,その主要メンバーが陳にヘッドハンティングされ,そのままビジネス・アイディアが丸ごとコピーされたと言われている。激怒した葉が陳のビジネスを阻止しようとしているのではという見方が多いようだ。葉自身,名創創業当初に香港系や日系企業がディベロッパーに圧力をかけて店舗開設を阻害したと述べているが31),今回は立場が逆転したわけだ。

VI. おわりに

2018年末の年度大会で,名創は野心的な「百国千億万店」計画を発表した。2022年までに,100の国や地域で1万店舗(海外のみで7,000店舗),売上高1,000億元(1兆6,500億円)を目指すという。

最後に,葉がグローバル戦略について語った言葉で本稿を締めくくりたい。

「私は日本人と合同で船を作った。その船の力を借りて,国内の企業―サプライヤーとサプライチェーン―と一緒に広大な海に出た。これまで中国企業は技術と富を蓄積してきたが,いい船がなかったのだ。海に出るためには,日本や韓国,アメリカなどの力を借りるのはいい方法だと思う。」32)

1)  1元=16.5円で換算。以下同

2)  参考までに,ダイソーはグローバルで店舗数5,270(うち国内3,278,海外1,992),売上高は4,548億円(2018年3月現在,同社HP)。無印良品は,グローバルで店舗数821(うち国内418,海外403),売上高3,296億円(2017年度,同社HP)。

3)  Du, B. (2017). MINISO NO SECRETS. Beijing: CITIC Press.(杜博奇(2017).『MINISO NO SECRETS 名創優品没有秘密』中信出版集団.(In Chinese)

4)  NIKKEY SHIMBUN. (2018). Meisou, tsuini touyougaini.(ニッケイ新聞「メイソウ,ついに東洋街に」(2018年12月14日付)https://www.nikkeyshimbun.jp/2018/181214-74colonia.html (In Japanese)

5)  葉は,日本にはすでに格安ショップが多数あり,ビジネスモデルが成熟しているため,中国のような店舗拡大は難しいだろうと率直に述べている(後述の呉との対談)。

6)  中国では経済規模や人口などによって都市をランク付けしているが,明確な定義はない。一般的に,一線都市は北京,上海などの直轄市とその他の大都市を,二線都市は地方の中核都市をさす。

7)  前掲書

8)  前掲書

9)  葉と呉暁波の対談

10)  名創優品HP

11)  葉と呉暁波の対談

12)  前掲書

13)  名創優品HP

14)  葉と王利芬の対談

15)  前掲書

16)  オーナーが選んだ場所について名創本部の審査が必要。利益が見込めない場合は当然中止となる。

17)  H&M, ZARA,ユニクロも同じ方式を採用している。

18)  前掲書。しかし実際には,モバイル決済の手数料や従業員の募集費用,場合によっては宿舎を用意してその費用もオーナーが負担しなければならない。また,売上が低迷して店舗運営ができなくなった場合,ブランド使用権と保証金制度により名創本部は一定の資金回収が可能だが,オーナーはそのリスクを一方的に背負わざるを得ないとの指摘もある。

19)  中国屈指の不動産グループ大連万達傘下で,全国の大都市に展開しているショッピング・センター。通常は街の中心部にあり,ランドマークのような存在。会長の王健林は中国の不動産王と呼ばれる。

20)  前掲書

21)  葉と呉暁波の対談

22)  前掲書

23)  分利宝HP

24)  同社の成功の背後に本土のコンサルティング会社の存在があるといわれている。

25)  葉と王利芬の対談

26)  葉と呉暁波の対談

27)  呉暁波頻道

28)  商業セキュリティサービスを専門に提供するベンチャー企業。公開データを基に,企業間のネットワークを分析しながら各種企業に関する独自の情報を生み出し,事業リスクの低減のためのソリューションを提供する。なお,当該appは外国からは利用できない。

29)  http://www.iceo.com.cn/renwu2013/2018/1205/305645.shtml (In Chinese)

30)  http://www.iceo.com.cn/renwu2013/2018/1205/305645.shtml (In Chinese)

31)  葉と呉暁波の対談

32)  葉と呉暁波の対談

金 春姫(キン シュンキ)

成城大学経済学部准教授。専門はマーケティング,消費者行動論。(中国)北京大学光華管理学院卒業(2000年),一橋大学大学院商学研究科で博士号取得(2007年)。

 
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