マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
39 巻 , 1 号
マーケティング・リサーチプロジェクト
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
巻頭言
  • 古川 一郎
    2019 年 39 巻 1 号 p. 3-5
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
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    The purpose of this special issue is to introduce several research results from JMAC marketing research projects. This issue contains five papers among 31 research projects (shown in Figure 1): “Industry Innovation and Brand-Mode Shift”, “Presence and Prospects of CMOs in Japanese Corporations: How Do CMOs Contribute to Performance?”, “Exploratory Study of Factors Determining Outcomes of Sixth Sector Industrialization Using Secondary Data”, “Current Issues in Brand Research” and “Relationship between Consumer’s Hedonic and Utilitarian Motives for Making and the Value of User-Developed Solutions and Sharing of Solutions: A Large-Scale Empirical Study”.

    All of these papers show the frontiers of each research area in marketing practice in Japan.

特集論文 / 招待査読論文
  • ― 「モード・シフト」するブランディングからの問題提起 ―
    森 一彦
    2019 年 39 巻 1 号 p. 6-23
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
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    ブランド戦略の可能性の中心は<交換・意味・記号性>という軸により経営,マーケティング,コミュニケーションの諸側面を通じてブランド価値を縫い上げるように戦略が展開される点にある。しかし,“インダストリー・イノベーション”という既存の産業や業態の領域(バウンダリー)を解体越境し,プラットフォームとして可変的にサービスをつなぎ替えするエコシステムから生産・交換様式が変化しつつあり,ブランドの様態でモード・シフト(様態変化)が起きているのではないだろうか。本稿では,ブランドの様態が今までのブランド知識を通じた「資産システム」から,サービスに媒介されるユーザー体験を介しての「活動システム」へとシフトしている状況を辿り,価値共創の体験から共有化される記号性(社会に共有されるシンボル性)から構成され,経営や事業そのものに資源統合として関わる「活動システム」としてのブランド戦略の可能性を検討する。

  • ― CMOは業績にどの程度貢献しているか ―
    田中 洋, 安藤 元博, 髙宮 治, 江森 正文, 石田 実, 三浦 ふみ
    2019 年 39 巻 1 号 p. 24-42
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
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    本論文はCMO(チーフマーケティングオフィサー)が日本企業において企業業績にどのような貢献をしているかを実証的に分析するとともに,CMOの地位が現在どのように変化しているかを文献調査で明らかにすることを目的としている。CMOが企業業績に正の影響を与えていることが近年米国で報告されているが,日本ではまだ研究がほとんどなされていない。実証分析の結果,日本企業において,CMOを設置している企業の割合は約8–11%であり,設置率は業種によってばらつきがあった。またCMO設置企業と非設置企業とでは,前者がより規模において大きいことがわかった。また,CMO設置あり・なしは,企業の2年間売上伸張率に正の影響があり,CMO設置は4.7%の売上増収効果をもっていた。また,企業規模が小さな企業ほど,CMO設置あり条件が売上変化率により大きな影響を与えている。文献調査では米国消費財企業においてCMOに代わりCGO(チーフグロースオフィサー)が設置される傾向が2010年代に目立つようになった。CMOへの詳細インタビューを通じて,これらの結果を仮説モデルとしてまとめ,CMO/CGOの設置がどのように企業業績に影響を与えるかを考察した。

  • 小林 哲
    2019 年 39 巻 1 号 p. 43-60
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
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    日本の農林漁業は,就労者の減少や高齢化により,深刻な状況に直面している。こうした状況の中,政府は,農林漁業再生手段のひとつとして6次産業化をあげ,それを推進するため,さまざまな支援を行っている。しかしながら,6次産業化の研究は,政府の支援策に関する考察や事例の紹介にとどまり,6次産業化の成果規定要因に関する定量的分析はほとんどなされていない。そこで,本稿は,政府が作成した「6次産業化の取組事例集」を用いて,その定量的分析を試みる。分析の結果,加工と直販の両方を行う方が6次産業化の成果が高まることや,同じ6次産業化でも直販とレストランで成果に与える影響が異なることが明らかになった。また,地域への関与が高い6次産業化の方が,成果が高まることも示された。

  • 久保田 進彦, 阿久津 聡, 余田 拓郎, 杉谷 陽子
    2019 年 39 巻 1 号 p. 61-74
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
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    ブランド研究はマーケティングにおける重要なテーマであり,現在も盛んに議論が行われている。そこで本稿では4人のブランド研究者が,いまなお広がり続けているブランド研究の現状や課題について語っていく。本稿は4つの短い論文の組み合わせから構成されるオムニバス形式であり,企業ブランドが組織におよぼす影響(阿久津論文),BtoBマーケティングにおけるブランディングの効果(余田論文),BtoCマーケティングにおけるブランドの機能(杉谷論文),そしてブランド消費をとりまく環境変化(久保田論文)という順序で議論が行われていく。ブランドという重要なテーマについて,4人の研究者が異なる視点から語ることによって,現代ブランド研究の多面性があらためて示されることとなる。

  • ― 大規模サーベイによる実証研究 ―
    岡田 庄生, 西川 英彦
    2019 年 39 巻 1 号 p. 75-87
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
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    モノづくりをする消費者が増加し,その中から高い製品成果が創出・公開され,その成果を利用し,市場で成果をあげている企業がある一方,多くの消費者の成果がいまだ活用されていないという現状がある。こうした状況下,研究者や実務家が,どのようなモノづくり動機をもつ消費者が製品成果をあげ,製品公開をするのかを理解するということは,消費者のモノづくりがもたらす市場成果を上手く活用でき,研究あるいは実務だけでなく,社会全体にとっても意義がある。こうした問題意識に対し,多くの先行研究が行われてきたが,限定的な消費者を対象にしていて,増加するモノづくりを行う消費者全体を捉えたものとはいえない。こうした中,本研究は,消費者全体にまで対象を広げた大規模サーベイによって,モノづくりをする一般的な消費者の中から,どのようなモノづくり動機をもつ消費者が製品成果をあげ,製品公開を行うのかを実証した。その結果,製品成果に対しては,消費者の功利主義的モノづくり動機が影響を与えていた。一方,製品公開に対しては,快楽主義的モノづくり動機が影響を与え,功利主義的モノづくり動機によりその影響は強められていた。

レビュー論文 / 招待査読論文
  • 瀨良 兼司
    2019 年 39 巻 1 号 p. 88-96
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
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    サービス提供企業と享受者(顧客)との接点となる,サービス・フロントラインで働く従業員が接する顧客のニーズは,多岐にわたる。この異質性への対応というサービス・フロントラインの課題を踏まえると,各顧客のユニークなニーズへの対応の必要があり,品質の標準化に基づく定型的な提案だけではなく,パーソナライズされた創造的な提案が求められる。サービス・フロントラインにおいて創造性を発揮する従業員は,顧客の潜在的ニーズを発見し,顧客の抱える課題を独自の対応で効果的に解決し,優れた顧客経験を生み出すことで,顧客との長期的な関係を築くことに貢献する。本稿では,サービス・フロントライン従業員を対象とし,創造性研究における蓄積を手掛かりとしながら,サービス・フロントライン従業員の役割や従事する職場を考慮したうえで,サービス・フロントライン従業員の創造性に関する研究の現状と今後の課題を提示する。

  • 中村 世名
    2019 年 39 巻 1 号 p. 97-105
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
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    伝統的にマーケティング研究は競争を回避すべき対象と見なしてきた。しかし,激しく,素早い競争行動によって特徴づけられる今日の環境を踏まえると,競争が不回避であるという前提のもと,競合企業との競争に勝ち続けるために必要な要因を探究する新たなマーケティング研究が求められるであろう。本論は,そのような研究を「競争志向型のマーケティング戦略研究」と呼称し,競争志向型のマーケティング戦略研究が依拠すべきフレームワークを検討した。分野横断的なレビューの結果,オーストリア経済学をルーツとする競争ダイナミクス・ビューが競争志向型のマーケティング戦略論の依拠するフレームワークとしてふさわしいことが特定化された。また,今後の研究の方向性として,競争ダイナミクス・ビューの知見に(1)顧客との関係性,(2)流通業者との関係性,(3)ポートフォリオの視点を加えた研究を行うことによって,新たな示唆を提供できることが指摘された。

マーケティングケース
  • ― 名創優品産業 ―
    金 春姫
    2019 年 39 巻 1 号 p. 106-118
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
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    このケースでは,2013年に創業した名創優品産業に注目する。日本発ファストファッションデザインをコンセプトに,グローバル本社は東京銀座にあるとしながら,実質上は中国企業である。中国で空白だった格安雑貨ショップのビジネスモデルを作り上げ,最近は日本ブランドとして積極的に海外進出を進めている。本稿では,この中国発の日本ブランドが作られた経緯を整理する。

  • ― サンスターの「健康道場」の取り組み ―
    高橋 千枝子
    2019 年 39 巻 1 号 p. 119-130
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
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    従業員への健康投資により企業価値向上を実現する経営スタイルとして健康経営が注目され,流行の経営手法として多くの企業が取り組んでいる。サンスターは健康経営の取り組みそのものからイノベーションを生み出し企業価値向上に活かしてきた。早くから従業員の健康に投資しており,従業員向け健康増進施設で提供する玄米菜食を基本とした健康メソッドから「健康道場」ブランドを創出した。当初から健康経営を本業に取り込み,経済的価値を得ることを念頭に置いていた。同社の取り組みには,従業員の健康増進とその健康メソッドを活かしたビジネス創出を両立するCSVの視点と,モノ(健康道場ブランド)とサービス(健康メソッド)とを一体化して価値共創するサービス・ドミナント・ロジックの視点がみられる。

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