2020 年 39 巻 3 号 p. 52-66
社会のデジタル化が急速に進展しつつある現在,そこにおけるブランド戦略のあり方について大局的に検討することは,非常に重要な課題である。しかしそのためには,まずデジタル化によって消費環境がどのように変化するかを的確に認識しておく必要がある。こうした考えに基づき,本研究ではデジタル社会における消費環境について検討していく。具体的には,まずいくつかの研究をレビューしながら,デジタル社会における消費環境の動向について確認する。つづいてBardhi and Eckhardt(2017)によって提示された「リキッド消費」について説明する。そしてさらにリキッド化が社会に浸透している様子を,通時的データを用いて観察する。なお本研究における議論はKubota(2020)へと引き継がれたうえで,こうした消費環境の変化に対応したブランド戦略のあり方へと展開されていくことになる。