永年の間,多くの革新的なアイディアによって発展してきた日本料理業界において,日本人の食嗜好も変わっていくなか,その技術を将来に効果的な方法で普及・伝承していくことが必要とされている。また,グローバリゼーションの進展により,海外へ向けて普及させていく方法論も確立が急務である。経営学において,伝統的な日本料理を取り上げた研究は多くはないが,その研究は「食べる」という行為の性格上,多くの学問分野に広く渡っている現状がある。本論では日本料理産業内の職業料理人の組織という視座に基づき,料理の構造化,組織と技術伝承,必須食材の供給という3つの視点から先行研究のレビューを行っていき,日本料理の普及・再現について検討すべき課題の抽出を試みるものである。