2020 年 40 巻 2 号 p. 18-28
本稿では,「コスパの良い」という小売店舗の価格イメージ情報が消費者の口コミや購買に与える影響について明らかにした。実証分析では,消費者生成型コンテンツを実験的に作成し,小売店舗の価格イメージ情報に関する異なる刺激提示の状況下での口コミ行動の差異を捉えるのに加え,口コミ行動前後の被験者の購買行動の差異についても捉えた。その結果,「コスパの良い」に関する投稿情報に接触した消費者は,「安い」に関する投稿情報に接触した消費者に比べて①返信回数が多い,②「品質」を通じての「価格」という話題に多く接触している,③「品質」を通じての「楽しい」という話題に多く接触している,④対象店舗での購買量や購買商品単価が増加した,の4点が明らかになった。本稿の成果は,小売店舗に関する口コミや購買を喚起するうえで,「コスパの良い」というキーワードの有効性を示している。