マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
40 巻 , 2 号
ショッパー・サイエンス
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
巻頭言
特集論文 / 招待査読論文
  • 清水 聰
    2020 年 40 巻 2 号 p. 7-17
    発行日: 2020/09/29
    公開日: 2020/09/29
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    動線調査研究は,RFIDなどの位置情報技術により,新たな研究段階に入ってきている。本稿では,新しい位置情報システムであるQuuppaを用い,ある店舗での消費者の動線を70日間集めた。そしてその動線データと当該店舗のFSPデータと結び付け,消費者の当該店舗との関係性が動線長に与える影響と,動線長そのものを説明する要因を探った。その結果,店舗のロイヤルユーザーは,それ以外の来店者と比べて,1回の買物の動線長が短く,購買金額も高くないことが示された。また動線長を説明する要因には,週末や年末年始,各売場や通路の滞在時間,そしてロイヤルユーザーフラグが影響することが示された。動線調査を行う際に,消費者の視点を入れることの重要性が明らかになった。

  • ― 小売店舗の価格イメージが口コミ行動と購買行動に与える影響 ―
    寺本 高, 三坂 昇司
    2020 年 40 巻 2 号 p. 18-28
    発行日: 2020/09/29
    公開日: 2020/09/29
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    本稿では,「コスパの良い」という小売店舗の価格イメージ情報が消費者の口コミや購買に与える影響について明らかにした。実証分析では,消費者生成型コンテンツを実験的に作成し,小売店舗の価格イメージ情報に関する異なる刺激提示の状況下での口コミ行動の差異を捉えるのに加え,口コミ行動前後の被験者の購買行動の差異についても捉えた。その結果,「コスパの良い」に関する投稿情報に接触した消費者は,「安い」に関する投稿情報に接触した消費者に比べて①返信回数が多い,②「品質」を通じての「価格」という話題に多く接触している,③「品質」を通じての「楽しい」という話題に多く接触している,④対象店舗での購買量や購買商品単価が増加した,の4点が明らかになった。本稿の成果は,小売店舗に関する口コミや購買を喚起するうえで,「コスパの良い」というキーワードの有効性を示している。

  • 山本 晶
    2020 年 40 巻 2 号 p. 29-41
    発行日: 2020/09/29
    公開日: 2020/09/29
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    フリマアプリなどの普及に伴い,一次流通の店頭でオンラインの二次流通市場の販売価格を調べてから購入する,二次流通市場での売却を念頭に置いて一次流通で購入する,といった新しい消費者の購買行動が広がりつつある。本研究では二次流通市場における売却価格や成約までの日数といった条件が,一次流通市場の購買にどのような影響を及ぼすか検討する。ジーンズとタブレットの二つの製品カテゴリに関する約1,600名の調査回答者に対してコンジョイント分析を行った結果,一次流通市場における選択においては一次流通価格や所有製品との適合の度合いが依然として重要ではあるものの,二次流通市場において価格が下落しないことは消費者の効用を高め, 当該商品が選択される可能性が高まることが明らかになった。また,フリマアプリの利用状況によって属性の部分効用値が異なり,フリマアプリの売り手は一次流通市場において価格感度が低く,二次流通市場における条件に相対的に強く反応することが明らかになった。本研究の結果は二次流通価格に占める一次流通価格の割合の上昇は,一次流通市場における支払意思額を押し上げる効果があることを示唆している。

  • ― コミュニケーションチャネル利用とエンゲージメント行動に焦点を当てて ―
    太宰 潮, 西原 彰宏, 奥谷 孝司, 鶴見 裕之
    2020 年 40 巻 2 号 p. 42-52
    発行日: 2020/09/29
    公開日: 2020/09/29
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    小売業にオムニチャネルという言葉が登場して10年近くが経ち,その間小売業がインターネットやモバイルデバイス上のアプリなどを介してマーケティングを行うことは一般的なものとなった。しかし,デバイスや通信方法がいかに進化しようとも,自社が管理もしくはアプローチ可能なチャネルを介して顧客とやり取りをするという基本は変わらない。本論では,オムニチャネル環境下において,アプリ利用などのエンゲージメント行動の理解促進を目的とし,マルチチャネル研究の知見を応用することで,小売業の評価や既存の顧客指標との関連を探索した。その結果,ショールーミングなどの経験がオムニチャネル戦略を行う企業の評価を高めること,エンゲージメント行動はRFMなどの既存指標と強く相関をするが,売上増の要因となるのは来店頻度がより高まることにあること,複数のコミュニケーションチャネルを利用することで,来店に相乗効果が生まれることなどを示した。また自社保有チャネル外の分析例からは,小売業のアプリ利用の前後に,ポイント獲得が主目的と考えられる他社アプリを集中的に使うセグメントの存在などを示し,エンゲージメント行動を行う顧客の多角的な理解を進めた。

  • ― 各選択の関連性に着目した分析 ―
    赤松 直樹, 福田 怜生
    2020 年 40 巻 2 号 p. 53-64
    発行日: 2020/09/29
    公開日: 2020/09/29
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    本研究では,ある選択がその後の選択に及ぼす影響の調整要因について議論した。逐次選択は,複数の選択間における選択行動であるが,既存研究では調整要因として消費者特性などが主に議論されており,各選択の関係については十分な議論がなされてこなかった。そのため,本研究は調整要因として各選択の関連性に着目し,消費者特性である健康意識との交互作用を考慮しながらその働きについて分析した。その結果,健康意識が高い消費者は,健康状態の維持に関する目標と美味しいものを食すことで快楽を得るといった目標の間でコンフリクト状態にあることが想定でき,事前選択でどちらか一方の目標を進展させると,その後の選択では進展がなされていないもう一方の目標に対応した選択を行う傾向が示された。そして,この傾向は各選択の関連性が高い場合に生じる点も確認された。これらは逐次選択の影響が生じる条件に関する新たな知見であると言える。

レビュー論文 / 招待査読論文
  • 今井 紀夫
    2020 年 40 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 2020/09/29
    公開日: 2020/09/29
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    近年のデジタルテクノロジーはエコシステム環境下でのデジタル企業の隆盛と,新たな脅威と機会につながっている。一方で既存企業はその対応に苦戦している。デジタルトランスフォーメーションは,近年の複合的デジタルテクノロジーによる新しいビジネスモデルを活用するための全社変革である。デジタルビジネスはプラットフォームや複数のプレイヤーから成るエコシステムを特徴とし,プラットフォームでの価値創造にはビジネス視点と技術視点のものがあり,新しい軸での競争を生みだしている。またトランスフォーメーションには複数のアプローチがあり,段階的な取組により成功率が高まる可能性がある。今後のマーケティング視点からの研究の方向性として(1)業績への影響とその条件,(2)補完製品提供者も含めた価値創造のプロセス,(3)情報システム部門とのテクノロジーケイパビリティ構築,(4)デジタル関連組織の役割の特定が提示された。

  • 鴇田 彩夏
    2020 年 40 巻 2 号 p. 74-82
    発行日: 2020/09/29
    公開日: 2020/09/29
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    Toffler(1980)によって提案されたプロシューマーの概念と活動は,情報技術や社会環境の変化によって拡大してきた。本稿の目的は,能動的な消費者として定義されているプロシューマーに関する研究をレビューすることによって,生産技術や社会的環境とともに変化するプロシューマーの定義と彼らの活動動機を明らかにすることである。プロシューマーの概念はさまざまな分野で応用され,類似した概念も複数存在する。これらの類似概念は活動の能動性の高さや他者へのモノ・サービスの提供という点で相違がある。これらの定義を活動の能動性と製品・サービスの消費主体という2つの軸で分類した上で,近年の社会環境に対応するためにプロシューマーの生産と利用にとどまらず,他者への提供も含めるべきであると指摘する。さらに,彼らの活動動機として,個人的動機と社会的動機に加えて,経済的動機についても考察する。最後に,これらを踏まえた上で今後の研究課題を提示する。

マーケティングケース
  • ― グッドスマイルカンパニー楽月工場 ―
    石井 隆太, 白石 秀壽, 小野 晃典
    2020 年 40 巻 2 号 p. 83-93
    発行日: 2020/09/29
    公開日: 2020/09/29
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    アニメ等のコンテンツに登場するキャラクターを象ったフィギュアは,世界中のファンたちを魅了している。そんなフィギュアを生産するメーカーとして,国内有数のシェアを誇り,業界をリードしているのが,株式会社グッドスマイルカンパニーである。フィギュアの生産には,熟練工による手作業が必要不可欠であるため,フィギュアメーカーは,その生産工程の多くを,人件費の安い海外の委託工場に外注している。しかしながら,グッドスマイルカンパニーは,2014年,鳥取県倉吉市に楽月工場を建設し,全メーカーに先駆けて,一部の製品を,国内自社工場で生産することにした。このように,生産活動の内製と外注を同時に行う戦略は,デュアル・ソーシング戦略と呼ばれる。本論は,この戦略を採用することによって,同社が,フィギュアの品質向上・費用低下を実現するだけではなく,生産技術の立ち遅れを取り戻した上で,生産効率化の余地を探究し,取引条件に関する詳細な交渉を行うことにも成功しているということを示す。

  • 本庄 加代子
    2020 年 40 巻 2 号 p. 94-103
    発行日: 2020/09/29
    公開日: 2020/09/29
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    本稿はユニクロのブランド・イメージとそのブランドマネジメントのプロセスを辿る事例研究である。同社は,創業当初からグローバル化を強く意識し,創業30周年目には,確たるグローバルブランドへと成長した。そして今衣服の概念を超え,LifeWearという新しい「服」市場をも創造しつづける。本事例は同ブランドの15年間の事業活動とCIやBIを軸とした情報発信,その結果がどのようにブランド・イメージを形成したのかを追跡し,ブランド価値を発展させるための要諦の導出を試みる。

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