2026 年 46 巻 3 号 p. 265-276
本研究は,非アジア圏からの長距離観光客を対象に,カントリーステレオタイプがどのように形成されるのか,および,それが訪日意図にどのような影響を及ぼすのかを検討する。具体的には,カントリーステレオタイプを,温かさ(warmth)と有能さ(competence)から捉えて,これらの次元が過去の訪日経験によってどのように変化するのか,さらに,それらが訪問意図に及ぼす影響が先進国市場と新興国市場でどのように異なるのかを探究する。Study 1では,4か国から収集したデータを用いて,訪日経験有無とカントリーステレオタイプの関係を検討した。分析の結果,訪日経験は,有能さの知覚よりも温かさの知覚を強く高めることが示された。Study 2では,先進国市場(英国)と新興国市場(メキシコ)を対象に国際比較分析を行った。分析の結果,先進国市場の文脈では,温かさが訪問意図のより重要な規定要因となる一方,新興国市場の文脈では,有能さがより重要な規定要因となることが示された。本研究は,カントリーステレオタイプと訪問意図の理解を進展させることによって,国際マーケティング研究の前進に一定の貢献を成すとともに,観光業界における実務家および政策立案者に対して実務的示唆を提示する。