計量国語学
Online ISSN : 2433-0302
Print ISSN : 0453-4611
論文A
言語類型論への多重対応分析による アプローチ(2)
Tsunoda, Ueda, and Itoh (1995a) の統計科学的再考察
小野 洋平吉野 諒三林 文ホイットマン ジョン
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 31 巻 4 号 p. 261-280

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抄録
Tsunoda, Ueda, and Itoh(1995a)はTsunoda, Ueda, and Itoh(1995b)の129言語の19の語順に関するデータベースに対して,クラスター分析を適用することによって,言語類型論において1)側置詞の情報が類型において最も重要であること,2)さらに側置詞の中では前置詞言語かそれ以外(無側置言語と後置詞言語)の区別が重要であることを示した.しかし,尺度水準の観点からは,Tsunoda et al.(1995b)のデータベースは順序尺度もしくは名義尺度であり,我々は多重対応分析の適用がより適切であると考えた.本研究では,多重対応分析を実際に適用した結果,上記のTsunoda et al.(1995a)の結論は再考を要することを明らかにした.さらに,言語類型論においては3)主要部前置型(前置詞,VO,名詞-属格)と主要部後置型(後置詞,OV,属格-名詞)の分類と4)名詞句内部に関連する変数かそれ以外かという分類が重要であることが明らかになった.さらに4)に関して,名詞句内部に関する変数の中では「属格と名詞の順序」だけ例外であった.今後の言語学的な議論を期待したい.
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© 2018 計量国語学会

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