抄録
本論文では,中学・高校の理科教科書中に出現する専門用語に論述上の重要度を付与し,重要度の高い専門用語(重要語)の出現過程を分析した.そのために論述により生じるテキストの情報量を「テキスト中の専門用語と段落との相互情報量」と「専門用語の出現位置をランダムに入れ替えたテキストでの相互情報量」との差として計算し,情報量への貢献度を各専門用語の重要度とした.重要語の高い上位50%と10%の専門用語のテキスト上での出現過程を分析した結果,全ての専門用語を対象としたときの出現過程と比べて,初出語がテキストの前半に出現する傾向,および既出語としてコンスタントに繰り返されていく傾向が強かった.また全ての専門用語を対象とした場合は教科書の後半にかけて多くの低頻度語が出現していくのに対して,重要語に限定した場合には前半は低頻度でも後半にかけて次第に繰り返し出現していく様子が示唆された.