2025 年 35 巻 3 号 p. 144-159
本研究は,初級日本語授業における教師発話の機能と構造に注目し,IRF構造(導入・応答・フィードバック)と主分類(教室運営/指導内容)の観点から,2432発話を定量・質的に分析したものである.質問形式やフィードバックの焦点に合わせて,教師発話は状況に応じて柔軟に調整されており,言語支援と関係調整の両面で重要な役割を果たしていた.教師の即興的対応や相互行為の調整を可視化することにより,日本語教育における授業談話研究の深化と,教師養成・研修への応用可能性を示唆する.