2025 年 35 巻 3 号 p. 86-101
本稿では,『日本語日常会話コーパス』を用い,原因・理由を表す「から」と「ので」の選択に関わる要因を検討した.分析の結果,雑談から会議・会合へと場面の改まり度が高くなるにつれて「ので」の使用率が増加すること,また丁寧体の使用率が高い会話ほど「ので」が選ばれやすいことが明らかになった.さらに,家族との会話では「から」が圧倒的に優勢である一方,同僚や仕事関係者,客など,対人配慮が求められる相手に対しては「ので」の使用が増加する傾向が確認された.以上の結果は,「から」と「ので」の選択が,場面の改まり度や話者間の関係性といった社会的・状況的要因に関わるものであり,対人配慮が求められる場面や相手ほど「ので」が選好されることを示すものである.