松江市立病院医学雑誌
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SSRIによる薬剤性SIADHが疑われた1例
杉浦 涼子高木 美和土居 靖子大竹 徹今岡 雅史
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キーワード: SSRI, 薬剤性SIADH, うつ病
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 11 巻 1 号 p. 85-87

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抄録
近年うつ病の治療には比較的副作用の発現が少ない選択的セロトニン再取り込み阻害薬(以下、SSRI)が使用される頻度が高まってきており、その有効性も認められている。しかし高齢者においては、加齢による薬物動態の変化、多様な身体疾患の合併など薬物療法を施行するにあたり注意が必要である。今回我々は、SSRIであるparoxetineによる高齢患者のうつ病治療開始早期に著しい低Na血症を来たし、薬剤性SIADHと診断された症例を経験したので報告する。症例は71歳男性。不安焦燥感が強く、うつ病を疑いparoxetine、clonazepam、risperidone投与を開始。paroxetine一日投与量を20mgから40mgに増量して14日後に急激な嘔吐、意識障害が出現、血清Na濃度(最低値)は106mEq/lであった。paroxetineを含むすべての内服薬投与を中止し、水制限を行って血清Na濃度の補正を行ったところ速やかに上記症状は消失し、各種検査より薬剤性のSIADHが示唆された。原因薬剤としてparoxetineの関与が強く疑われた。高齢者においては薬物による有害事象の発現も多く、比較的安全な薬剤であったとしてもできるだけ少量投与から開始し頻回に検査を行って、十分に観察することが必要であると考えられた。
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