抄録
子宮原発骨肉種は極めてまれな疾患であり、検索しえた範囲ではわずか22 例しか報告されていない。今回、子宮原発骨肉腫の1 例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 症例は60 歳女性。下腹部痛を主訴に受診され、子宮に小児頭大の腫瘤を認めた。検査結果より子宮肉腫を疑い、拡大子宮全摘出術、両側付属器切除術、骨盤リンパ節郭清術を施行した。腫瘍の一部は腹腔内に破綻していたが、腹膜播種性結節は認めなかった。組織学的には核異型高度で紡錘形腫瘍細胞が密に錯綜増生し、腫瘍細胞間に腫瘍性類骨と破骨細胞様巨細胞が介在した。上皮性腫瘍成分を認めず、免疫組織化学的に他の肉腫成分がみられなかったことから子宮原発骨肉腫のpuretype と診断された。放射線療法と抗癌化学療法(carboplatin とdocetaxel 併用)を追加するも、局所再発と腹膜播種性転移のために術後約6 ヶ月で死亡した。 本症例は上皮性腫瘍成分を認めず、免疫組織化学的に他の肉腫成分を否定しえた子宮原発骨肉腫のpure type と考えられた。子宮原発骨肉腫に対する治療法は確立されておらず、本症例を含め長期生存例は報告されていない。