2010 年 14 巻 1 号 p. 87-90
今回我々は、急速に増大した成人脳幹部腫瘍を経験したが、意外なことに最終的な病理診断が乏突起膠腫であったので報告する。症例は61 歳女性。激しい回転性めまいで発症した。MRI では左顔面神経核付近に主座を置くT1 強調画像では低~等信号域、T2 強調画像では高信号域の長径16mm の腫瘍で造影効果はなかった。びまん性星細胞腫と診断され経過観察されていた。MRI にて腫瘍の急速な増大が認められたため、後頭下開頭にて生検術を施行した。術中迅速ではmalignant glioma の診断であったが、永久標本では免疫染色の結果およびchicken wire pattern 類似の毛細血管や明澄な腫瘍細胞の存在を認めたため、乏突起膠腫と診断された。若干の文献的考察を加え、報告する。