抄録
症例は54 歳女性.38 度の発熱,食思不振あり腹部CT検査で巨大肝膿瘍を認め肝膿瘍穿刺ドレナージと保存的加療で軽快した.しかし3 か月後に再度熱発を認め紹介となった.この時の腹部CT 検査では肝膿瘍は認めず右水腎症,右骨盤壁膿瘍とS 状結腸内に異物陰影を認めた.腹膜炎症状を認めなかったため,大腸内視鏡検査でS 状結腸内の爪楊枝を2 本除去した.処置後1 か月後で退院となった.異物誤飲の多くの症例では自然に排泄されるが本例のように消化管穿孔を生じた場合には治療の対象となる.われわれは当初,肝膿瘍治療時に右水腎症を認めていたが.S 状結腸内異物の存在の診断には至らず再入院時の上下腹部の3D-CT 検査で異物の存在を指摘することが出来.内視鏡検査で処置出来た1 例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.