抄録
60代女性.7年前から抗SS-A/Ro抗体陽性と多発関節痛のため,他院で経過観察中だった.6年前から両側耳輪に発赤が出現し,1年前から耳鳴りと耳輪の痛みが出現した.耳鼻科を受診したが聴力の低下はなく,画像検査も含めた各種検査を受けたが明らかな異常はなかった.その後も耳輪部の赤みと痛みが続くため当科を受診した.当科初診時,両側耳輪部に淡い紅斑を認めた.耳輪部皮膚生検では,真皮-軟骨部境界域にかけてリンパ球を主体とする炎症細胞の浸潤を認めた.血液検査では抗Ⅱ型コラーゲン抗体価が上昇していた.呼吸困難や鞍鼻など気道-気管支に由来する症状は認めなかった.①関節痛,②耳鳴り,③耳輪の紅斑,④耳輪部皮膚病理所見,⑤抗Ⅱ型コラーゲン抗体価上昇より,再発性多発軟骨炎と診断した.耳輪部の腫脹はなく,発熱などの全身症状や聴力低下もないことから,ステロイドの全身投与はせず,慎重に経過をみることとした.再発性多発軟骨炎は,耳介軟骨をはじめとする全身軟骨へ炎症を来たす自己免疫疾患の一つである.難聴などの内耳障害,気管・気管支軟骨の変性や,それによる気管狭窄等の重篤な経過をたどる場合もあるため,早期発見が重要と考え今回報告した.