松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
抗ARS抗体陽性皮膚筋炎の1例
松井 香奈枝新石 健二
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 25 巻 1 号 p. 53-57

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抄録
88歳男性.数日前より背部の痒みと顔の腫れが出現し当科を受診した.受診時,両側上眼瞼に淡い浮腫性紅斑,背部にむち打ち様紅斑を認めた.両側手背部の角化性皮疹や,爪上皮出血点,爪囲紅斑は認めなかった.血液検査で抗アミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase:ARS)抗体陽性であり,免疫ブロット法による筋炎関連抗体の検索を行い,抗KS抗体陽性の皮膚筋炎と診断した.初診時は皮膚症状のみで,筋力低下や呼吸器症状は認めず,画像検査上も間質性肺炎や悪性腫瘍を示唆する所見はなかった.ステロイド外用治療を開始し皮膚症状は軽快した.抗KS抗体陽性の場合,間質性肺炎の合併例が多く,自己抗体の同定が治療方針決定の一助となる.本例について,今後,間質性肺炎の出現がないか注意しながら経過観察中である.
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