抄録
52歳男.主訴は3年間で20kgの体重減少と血糖コントロール不良.腹部超音波検査で肝(S5)と膵体部に境界明瞭でやや高エコーの腫瘍が認められ,内視鏡的逆行性胆道膵管造影で膵体部に膵管の途絶が認められた.造影CTでは膵腫瘍に著明な造影効果が認められ,CTAの後期に肝腫瘍の辺縁にリング状の造影効果が認められた.MRIのT1とT2強調像では低信号でd-DTPAの投与にて造影効果が認められた.グルカゴン産生膵腫と診断し,膵体尾部切除兼摘脾と1群のリンパ節郭清,肝(S5)の腫瘍に対しラジオ波焼灼治療を施行した.切除標本では膵腫瘍は境界明瞭で被膜の形成のない大きさ3.0×2.3×2.0cmで白色充実性の腫瘍が認められた.病理組織学的所見で腫瘍細胞は硝子化した結合織の中に増生し,被膜のない索状からリボン状の構造が認められた.免疫組織学的にはグルカゴン強陽性,ソマトスタチン弱陽性であった.以上より,グルカゴン産性膵腫瘍と診断した.術後1年経過した現在,再発徴候もなく血中グルカゴン正常値内で健在である