抄録
61歳男.主訴は下腹部痛及び腹部腫瘤.腹部に鵞卵大の可動性良好な硬い腫瘤を触知した.腹部CT検査所見で下腹部に周囲組織への浸潤を認めない内部不均一な充実性腫瘤を認め,腫瘤による下大静脈(IVC)の圧排を認めた.腹部血管造影検査所見では腫瘤による右結腸・回結腸動脈の圧排,IVCの圧迫と腫瘤部のAVシャントの発達を認めた.小腸造影検査所見では腫瘤による小腸の圧排を認め,注腸造影検査所見では腫瘤による回腸末端部の圧排を認めた.腹部MRI所見では腫瘤は境界明瞭で周囲への浸潤は認めず,T1強調画像で低信号,T2強調画像で内部不均一な高信号を示し,meglumine gadopentetate投与による造影効果を認めた.以上より,腸間膜腫瘍と診断し開腹手術を施行した.開腹時,トライツ靱帯より約10cm肛門側の上腸間膜内に鵞卵大,表面平滑,可動性良好な腫瘤を認め,腫瘍摘出術を施行した.重量680g,径12×10×8cmの境界明瞭で辺縁平滑な腫瘤であった.病理組織所見,免疫組織化学染色所見より,腸間膜由来のsolitary fibrous tumorと診断した.術後経過は良好で,術後第14病日に退院した.