抄録
わが国の廃棄物・循環関連法は,循環型社会形成推進基本法のもとに廃棄物処理法,資源有効利用促進法を置き,その下に個別リサイクル法があるという構図になっている。しかし各法律は用語の使い方や定義が異なるなど,法律間の連携が図られていない。再使用,再生利用,熱回収という処分の優先順位の判断基準が曖昧で,特にプラスチックについては統一的な考え方が必要である。また国際的な資源確保競争を視野に入れた国内循環の仕組みを構築していく必要があるが,現在の法制度では不十分である。国内循環のためには事業者に再生製品化についての責務を定めるべきである。集団回収や店頭回収等,回収ルートの多様化への対応も課題である。民間の活力を活かしたリサイクルの効率化を図るためには,規制の見直しや静脈産業の法的位置づけが必要で,民間をチェックするためには自治体にもっと権限を下ろすべきである。