廃棄物資源循環学会誌
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特集:バイオマス系廃棄物のリファイナリー
バイオエタノールの研究動向と今後の展望
坂西 欣也
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2021 年 32 巻 4 号 p. 264-271

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抄録
バイオエタノールは,運輸部門,特にガソリン車の CO2 削減のため,主としてブラジルやアメリカでサトウキビ廃糖蜜やトウモロコシデンプンを原料として製造され,アジアや欧州諸国においても石油由来ガソリンへのブレンド用に広く利用されている。しかしながら,サトウキビやトウモロコシ等の食用原料からバイオエタノールを製造することは食料との競合や土地利用変化の問題等を引きおこすため,非食用のセルロース系バイオマス (たとえばバガス,稲わら,麦わら等の農業残渣や草本系バイオマス) や他の廃棄物系バイオマスからのバイオエタノール製造技術の開発と実用化が期待されている。本報では,上述したような点を踏まえて,バイオエタノールの増産に向けた非食用バイオマスからの製造プロセスの現況と課題を概説するとともに,バイオエタノールを基幹物質とする輸送用燃料や各種バイオプラスチック製品の合成プロセスの研究開発の状況と今後の展開を述べる。このような技術開発の実用化によって,2050 年のカーボンニュートラル社会の実現につながることが期待される。
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© 2021 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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