廃棄物資源循環学会誌
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32 巻, 4 号
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巻頭言
特集:バイオマス系廃棄物のリファイナリー
  • ――原料調達とその問題点――
    中崎 清彦
    2021 年 32 巻 4 号 p. 255-263
    発行日: 2021/07/31
    公開日: 2022/07/31
    ジャーナル フリー
    バイオリファイナリーとはバイオマスを原料に汎用化学品・燃料を製造することをいう。バイオリファイナリーの研究が進んだ最初のきっかけは石油価格の高騰といわれている。その後,バイオリファイナリーのもつカーボンニュートラルの特性が注目されるようになり,さらに,2015 年に国連サミットで SDGs (持続可能な開発目標) が採択されるとバイオリファイナリーはその複数の目標に関係し,SDGs の目標達成を支えるものとしても期待されるようになった。加えて,近年では生分解性プラスチックの利用を通してマイクロプラスチックによる海洋汚染問題の解決にも貢献するものと考えられている。上述のように,バイオリファイナリーにはさまざまな利点があるが,サトウキビやトウモロコシ等の食料と競合する農作物を用いたバイオエタノール生産以外のものは残念ながら広く普及しているとはいえない現状がある。バイオリファイナリーの普及には安価な原料を大量に調達し,安価な変換プロセスを開発することが極めて重要である。本稿では,バイオリファイナリーの原料として,未利用資源,資源作物,廃棄物を取り上げ,これらの原料を用いるときの問題点についてまとめた。
  • 坂西 欣也
    2021 年 32 巻 4 号 p. 264-271
    発行日: 2021/07/31
    公開日: 2022/07/31
    ジャーナル フリー
    バイオエタノールは,運輸部門,特にガソリン車の CO2 削減のため,主としてブラジルやアメリカでサトウキビ廃糖蜜やトウモロコシデンプンを原料として製造され,アジアや欧州諸国においても石油由来ガソリンへのブレンド用に広く利用されている。しかしながら,サトウキビやトウモロコシ等の食用原料からバイオエタノールを製造することは食料との競合や土地利用変化の問題等を引きおこすため,非食用のセルロース系バイオマス (たとえばバガス,稲わら,麦わら等の農業残渣や草本系バイオマス) や他の廃棄物系バイオマスからのバイオエタノール製造技術の開発と実用化が期待されている。本報では,上述したような点を踏まえて,バイオエタノールの増産に向けた非食用バイオマスからの製造プロセスの現況と課題を概説するとともに,バイオエタノールを基幹物質とする輸送用燃料や各種バイオプラスチック製品の合成プロセスの研究開発の状況と今後の展開を述べる。このような技術開発の実用化によって,2050 年のカーボンニュートラル社会の実現につながることが期待される。
  • 越川 哲也
    2021 年 32 巻 4 号 p. 272-279
    発行日: 2021/07/31
    公開日: 2022/07/31
    ジャーナル フリー
    地球温暖化,また,廃棄物処理といった環境問題に対しての意識の高まりにより,各国では循環資源となるバイオマスからのバイオディーゼル燃料の製造,技術開発が行われている。国内のバイオマス利活用事例としては環境事業として廃食用油を起源とする軽油代替燃料 FAME の製造研究があげられ,各所でバイオディーゼル燃料化事業が進められてきた。そこで,京都市での第 1 世代バイオディーゼル燃料 (FAME) 事業経緯と,近年の炭化水素燃料と同等の性質をもつ次世代バイオ燃料の製造開発について国内外を含めた動向,取り組みを紹介する。
  • 朱 愛軍, 覃 宇, 謝 成磊, 李 玉友
    2021 年 32 巻 4 号 p. 280-291
    発行日: 2021/07/31
    公開日: 2022/07/31
    ジャーナル フリー
    脱炭素や循環型社会の実現のために,バイオマスの利活用がますます重要になってきている。近年メタン発酵によるバイオメタン生成とバイオガス発電が注目されている。本稿ではバイオガスの生成に関する研究動向を総括するために,まずデータベース Web of Science を用いて,バイオガスに関する研究論文の年間発表状況をまとめた。次にメタン発酵技術に焦点を絞り,プロセスの効率化と安定化を向上させるためのさまざまな強化技術 (前処理,添加材および混合消化) をレビューした。また,筆者らが近年行なった都市廃棄物系バイオマス (生ごみ,下水汚泥および紙ごみ) の混合メタン発酵研究を紹介した。最後に,日本で実装化されているメタン発酵プラントの代表的事例を取りあげ,応用拡大の可能性を展望した。
  • 矢野 浩之
    2021 年 32 巻 4 号 p. 292-299
    発行日: 2021/07/31
    公開日: 2022/07/31
    ジャーナル フリー
    セルロースナノファイバー (CNF) は,木材等,植物バイオマスをナノレベルまで微細化して得られる軽量,高強度の産業資材である。砂糖ダイコンの搾りカスやバガス等バイオマス系廃棄物からの製造も可能である。大気中の CO2 を吸収して作られる CNF は温室効果ガスゼロエミッションのキーマテリアルといえる。本稿では以下のキーワード,①高性能,②豊富で多彩な原料,③多様な用途,④コスト/パフォーマンス,⑤時間,⑥ CO2 削減,⑦持続性,に基づき脱炭素社会の構築に向けた未来型資源としてのセルロースナノファイバーの特徴について述べる。
  • 金子 光瑠, 熱田 洋一, 大門 裕之
    2021 年 32 巻 4 号 p. 300-304
    発行日: 2021/07/31
    公開日: 2022/07/31
    ジャーナル フリー
    液状飼料 (エコフィード) は環境や畜産農家,豚等に対して多くのメリットを有している。ここでは水熱反応を用いた有機性資源の液状飼料化技術を紹介する。この液状飼料化技術は従来の技術に比べてエネルギーや設備費が必要となるが,さまざまな有機性資源を活用でき高付加価値化した液状飼料を製造することができる。また昨今の持続性の向上・環境問題意識の高まりに対して破壊的イノベーション技術の一つになると期待されている。
令和3年度廃棄物資源循環学会・春の研究討論会
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