「科学的結果の再現性」の確保のためにカール・ピアソンやフィッシャーらによって発展した統計的推測と統計学的仮説検定理論,そこから派生して科学的根拠の定量値として得られる「p値」は,近年「再現性の危機」を迎える科学界においてその誤用と誤解が蔓延し,科学的結論の定量評価指標としての限界が浮き彫りとなっている。本稿では,まず統計学的検定の基本的な考え方と「p値」について解説し,なぜ今限界が論じられているかという点を考察する。そして,「p値」に代わる科学的根拠の定量的指標として近年提案され発展的な研究課題となっている「e値(ベッティングスコア)」を紹介する。